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国内ファンド 調達額最高 今年6000億円超、ポラリスけん引 2020/12/1

日本国内に特化した投資ファンドの新設規模が2020年、過去最高を更新する見通しとなった。国内系のポラリス・キャピタル・グループ(東京・千代田)が1500億円を調達し、合計で6000億円を超えた。大企業の事業切り離しなどが活発化し、投資機会がますます増えるとの期待があり、新型コロナウイルス禍で世界のファンド調達が2割減ったのと対照的だ。海外投資家のほか、地銀も資金配分を増やしている。
英調査会社プレキンによると、20年に資金調達を完了した国内ファンドは11月18日時点で30本あり、合計金額は約47億ドル(約4800億円)。11月末にポラリスが1500億円の新ファンド設立を完了したのに加え、数社が年内の調達完了を目指しており、合計金額は過去最高だった17年の約5700億円を超える見通しとなった。
半面、1~9月の世界のファンドの調達額は約4000億ドルと前年同期比2割減った。コロナ禍による金融市場の混乱などが響いたためで、通年でも減少となる可能性が出ている。
国内で調達額が増えたのはファンドが大型化した影響が大きい。米カーライル・グループの新ファンドは国内特化型で過去最大の2580億円で、15年に調達完了した前回ファンド(1195億円)の2.2倍に拡大。国内系のアドバンテッジパートナーズ(東京・港)は850億円と、17年完了の前回(600億円)から4割積み増した。
各社が金額を拡大したのは、国内でファンドの投資機会が増え、想定よりも早いペースで投資枠を消化しているためだ。一般にファンドの運用期間は10年で、最初の5年間で投資する。ポラリスは17年のファンドの投資枠を2年半ほどで使いきったため、新ファンドは金額を2倍に増やした。

後継者不足の企業の事業承継や、大企業の非中核事業の切り離しなどが活発化し、これらの受け皿となるファンドの投資機会が増えている。新型コロナ感染拡大に伴い企業がデジタル化への対応などに迫られるなか、ファンドの資金やノウハウを活用する動きが加速するとの期待も支えだ。
資金の出し手である国内外の機関投資家が、日本のファンドへの資金配分を増やしていることも大きい。長引く低金利による運用難で、相対的に高いリターンが見込めるファンドへの関心が高まっている。特に伸びが顕著なのが、海外投資家と地銀だ。
主に米欧の海外投資家は地域分散を進めて運用リスクを低減する狙いから、アジアのファンドへの資金配分を増やしている。中でも日本は経済規模が大きく、事業承継の増加などテーマ性もあるため、投資の期待が高まっている。日本成長投資アライアンス(東京・港)では今年設立した2号ファンドから初めて海外投資家が加わった。
地銀の場合、運用目的に加え、企業との融資関係の維持・拡大という狙いもある。一般にファンドは企業買収時、LBO(レバレッジド・バイアウト)ローンと呼ぶ、買収対象企業の資産や収益力を担保とする融資を活用する。この際、企業の既存借入金はLBOローンに置き換わる。
地方企業をファンドが買収する場合、地元の地銀がLBOローンに加われなければ、地銀にとって有力取引先を逃すことになる。こうした事態にならないよう、ファンドへの資金の出し手としてファンド運営会社との関係を保つ。取引先企業が事業承継などの問題を抱える場合、ファンドを買い手候補として紹介できるようにする狙いもある。
今年は新型コロナによる海外渡航制限で、海外投資家に対面で説明できないなどの事態も起きた。このためファンド運営各社はビデオ会議システムを使って完全リモートで手続きを完了するなど、資金調達を巡って新たな動きもみられた。
プレキンは日本の投資ファンド市場について、「経済の規模や成熟度にもかかわらず、米欧市場に比べて相対的に小さい」と指摘し、今後も拡大基調が続くとみる。ファンドの資金規模が膨らんで買収競争が激化し、価格が高騰する懸念はあるが、なおも活発な投資が続きそうだ。

(日本経済新聞)

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