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不良債権ファンド、世界で10兆円調達へ コロナで活発 2020/12/9

新型コロナウイルス感染拡大による経営環境の悪化に伴い、企業の不良債権などを買い取るファンドが世界で活発になっている。ファンド設立の動きが相次ぎ、現在準備中のファンドの調達目標額は約1010億ドル(約10兆円)に達する。新型コロナの打撃が比較的少ないとされる日本でも、投資機会を探る動きが出ている。

「10年に一度の機会」。不良債権投資に強みを持つ米ファンド、ストラテジック・バリュー・パートナーズのビクター・コスラ創業者兼最高投資責任者(CIO)は意気込む。同社は10月、16億5000万ドルの新ファンド設立完了を発表した。
英調査会社プレキンによると、2020年に設立を完了した不良債権専門ファンドの調達額は計約150億ドル。不良債権に加えて経営難の企業への融資や出資など幅広い戦略をとり、スペシャル・シチュエーションズ(特殊事業)と呼ぶファンドが計約170億ドルを集めた。
さらに2種類合わせて約140本のファンドが設立を準備中で、調達目標額は計約1010億ドル。一部ファンドの実際の調達は20年ではなく21年以降となる可能性があるが、いずれにしろ両年とも過去最高水準の金額になるとの見方が出ている。
米大手資産運用会社オークツリー・キャピタル・マネジメントは不良債権向けで過去最大級の150億ドルのファンドを設立中。西武ホールディングスへの投資などで知られる米サーベラスも30億ドルを調達中と伝わる。
背景には今後、新型コロナの感染拡大で企業の倒産や債務不履行(デフォルト)が一段と増え、ファンドの投資機会が拡大するとの見方がある。仏取引信用保険会社ユーラーヘルメスは年間企業倒産件数は21年までの2年間で3割増えると試算する。
世界各国でワクチン開発が進んでいるが、普及して感染に歯止めがかかるまでは相当の時間がかかるとの見方が多い。S&Pグローバル・レーティングによると、9月の米国企業のデフォルト率は6%と10年以来の高水準だった。21年半ばまでにワクチンが普及する前提でもデフォルト率は21年に12%台に上昇すると試算。普及が遅れればデフォルトはさらに増える恐れがあると指摘する。

世界的に株価は急上昇しているが、実体経済の回復は遅れ気味だ。中国ではコロナ禍に伴う支援措置を縮小した途端に過剰債務企業の資金繰りが悪化し、国有企業でもデフォルトが広がる。支援策の縮小に動き始めた他の国・地域でも同様の事態が起こりかねない。
日本では新型コロナの打撃が比較的軽く、帝国データバンクによると1~6月の倒産件数は前年同期比1%減。政府の企業支援もあり、不良債権の増大に直面する金融機関は少ない。もっとも、ファンド関係者はそろって「投資機会は今後増える」との見通しを語る。注目するのが13年の中小企業金融円滑化法(通称モラトリアム法)終了後も金融機関が返済猶予(リスケ)に応じることで延命してきた企業だ。新型コロナで経営環境が大きく変わり、こうした企業への対応を金融機関が迫られる可能性がある。

バブル崩壊後、日本には「ハゲタカ」と呼ばれた外資系の不良債権ファンドが相次ぎ進出した。その後の景気回復で相次ぎ撤退したが、水面下では「再上陸」の動きもある。米系大手ファンドの日本法人の元幹部は、外資系ファンドと投資を準備中だ。21年以降、不良債権を一括売却する「バルクセール」をどの金融機関が実施しそうか探っているという。
日本でもコロナ危機に対応した政府支援はいずれ限界を迎え、企業の再生や整理を民間のリスクマネーが担うことになる。欧米と同様に不良債権ファンドの出番が増えていく可能性はある。

(日本経済新聞)

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