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世界の運用会社、再編続々  手数料下げ競争響く 日本は下火、大手金融系多く 2021/1/7

世界の資産運用会社で再編の動きが相次いでいる。運用規模の拡大と品ぞろえを強化するのが狙いで、オーストラリアの大手銀行マッコーリー・グループが米運用会社の買収を表明。一方、米ステート・ストリートは運用部門を売却するとの観測が出ている。手数料競争が激化するなか、生き残りをかけた合従連衡を余儀なくされている。

豪マッコーリーは昨年12月、米運用会社ワデル・アンド・リード・ファイナンシャルを17億ドル(約1700億円)で買収すると表明した。買収後に富裕層向けの事業などを他社に売却し、米国に顧客基盤を持つワデルの株式運用部門を傘下に収める。マッコーリーに約7兆円の運用資産が加わり、計約48兆円を抱えることになる。
これに先立ち、10月には米大手証券会社のモルガン・スタンレーが米運用会社のイートン・バンスを70億ドルで買収すると発表した。仏ソシエテ・ジェネラルは運用部門の売却を模索しているとされる。
資産運用業界では株価指数に連動した運用をめざす「パッシブ運用」が広がる。株価指数を上回る成績をめざす「アクティブ運用」と比べて、手数料の引き下げ圧力が高まっている。資産規模を拡大できなければ収益を維持するのは難しい。一方、大手金融機関や事業を拡大したい運用会社にとっては、買収で品ぞろえを強化して、機関投資家の資金を一括で運用する総合的なサービスを提供できるようになる。
特に金融関係者を驚かせたのは世界3位の運用会社、米ステート・ストリートだ。米メディアによると、資産運用部門の売却交渉をスイスのUBSや米インベスコと進めている。ステートは世界最大の上場投資信託(ETF)である「SPDR(スパイダー)S&P500」を抱える。運用残高は30兆円超と、日本で最も大きい投信(1兆円弱)の30倍に上る規模だ。

ただ、そんなステートもETF市場で苦戦を強いられていた。金融情報のデータベース「モーニングスター・ダイレクト」によると、ETF市場の上位10社に占めるステートのシェアは2011年末の23%から20年(11月時点)に14%まで低下した。一方で上位2社の米ブラックロックと米バンガードを合わせたシェアは2ポイント上昇し、66%まで高まっている。
ステートは資産管理(カストディ)業務で世界2強の一角という別の顔を持つ。運用部門の売却は「じり貧になる運用部門よりもカストディに経営資源を振り向けるのだろう」(国内運用会社)との見方が優勢だ。
運用業界の再編機運は日本国内では乏しい。19年に三井住友アセットマネジメントと大和住銀投信投資顧問が統合し、三井住友DSアセットマネジメントが発足したが、それ以降は再編は下火になっている。
国内では大手金融機関傘下の運用会社が多く、統合に踏み出しにくい。統合しても似通った投資信託を廃止するには手続きに高いハードルがあるなど統合効果を簡単には高められない事情もある。ただ、手数料の引き下げ圧力は国内でも強まっている。再編などで資産運用が効率化できなければ、そのしわ寄せは一般の投資家に及ぶことになる。

(日本経済新聞)

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