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外資ファンド、日本上陸の好機  コロナ禍、企業の事業再編見込む 「高リターン」過熱の恐れ 2021/2/18

外資系ファンドが日本で企業投資に相次ぎ参入する。欧州系大手が東京事務所を開設したほか、香港ファンドは日本人幹部を招き準備に入った。新型コロナウイルス禍で事業再編の加速が見込まれており、日本への関心が高まっている。外資の上陸ブームは3回目。過去にはファンド間の買収競争が過熱して業界の長期低迷を招いたこともあり、警戒の声も上がる。

スウェーデンに本拠を置く大手ファンドEQTはプライベートエクイティ(PE=未公開株)投資担当を3~5人採用し、ヘルスケアや情報通信、サービス業などへの投資を計画する。投資案件の発掘などでは国内ファンドの日本産業パートナーズ(東京・千代田)と協力する。
EQTは約20カ国に事務所を構える。PE部門のアジア太平洋地域代表、サイモン・グリフィス氏は「日本市場は急速に拡大しており、EQTの専門知識を生かし企業を支援できる」と意気込む。
香港に本拠を置くPAGは元クレディ・スイス証券投資銀行本部長の伊藤宏一氏らがPE部門の共同代表に就いた。今後数年かけ、日本企業に数千億円を投じる。PAGは不動産投資の実績は豊富だが、PEの分野ではユニバーサル・スタジオ・ジャパン(大阪市)運営会社など数件にとどまっていた。体制を整え、PE投資にも本格参入する。
現在の日本参入ブームが始まったのは2018年。不動産投資が中心だった米大手ブラックストーン・グループがPE部門を設立。米大手アポロ・グローバル・マネジメントも日本事務所を開設した。仏LVMHモエヘネシー・ルイヴィトン系のLキャタルトンも日本法人を立ち上げた。
大手企業が非中核事業をファンドに売却する例が増え、案件増への期待が高まっているためだ。18年に米ベインキャピタルが旧東芝メモリ(現キオクシア)を買収し、日本企業のカーブアウト(非中核事業切り離し)の本格化が印象づけられた。
日本対象のファンドが高いリターンを上げてきたことも大きい。英プレキンが08~17年設立分の運用成績を調べたところ、IRR(内部収益率)が日本は18%と、北米(15%)などに比べて高かった。
コロナ禍を受け、事業再編は今後加速する見込み。一方で、日本は世界と比べコロナ禍による経済の悪化度合いが小さいとみられている。引き続き高いリターンが期待できるとの見方から、投資対象としての日本の魅力は増している。

外資系参入の最初の波は1990年代後半に起きた。不良債権投資のため日本事務所を構えたファンド各社が、企業の再建や成長支援に軸足を移していった。第2波は2000年代半ば。日本企業のM&A(合併・買収)が活発化し、米系大手が相次ぎ上陸した。ただリーマン危機で投資先の経営が行き詰まり、停滞。今回はこれらに続く「第3波」と言える。
もっとも、先行きに警戒の声も上がる。第2波当時、ファンド間の買収競争が過熱し、価格がつり上がる例が増えた。現在、国内系も大型ファンドを相次ぎ設立しており、買収競争が再び過熱する恐れがある。PEビジネスが定着するか、今回もブームで終わるか。投資ファンドの盛衰は日本経済の成長軌道や企業のビジネスモデルにも影響を与えそうだ。

(日本経済新聞)

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