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ユニゾン・キャピタル 江原伸好氏 企業の事業再編、道半ば 戦略的な先手必要 〈市場と企業〉キーパーソンに聞く(下)  2021/04/24

過去20年の国内資本市場の大きな変化には、プライベートエクイティ(PE=未公開企業投資)ファンドの役割が高まったことがある。日本のPEファンドの草分け、ユニゾン・キャピタルを創業した江原伸好氏に聞いた。
――かつては企業を食い物にする「ハゲタカ」とも呼ばれました。
「20年前、投資先の企業の社員は我々が乗り込んでくると感じ、心を開かなかった。今は面白いことがおこるかもしれないと期待を持たれるようになった。PEが成功例を積み上げてきたことが大きい」
「2009年に当社が株式の非公開化を支援したあきんどスシロー(現FOOD & LIFE COMPANIES)では『スシロー』にブランドを統一し、店構えを同じにした。社員の教育で離職率が下がり顧客満足度は飲食でトップになった。現在は他のファンドの出資を経て再上場し株式市場で高く評価されている。土台作りに貢献できたことは誇りに思っている」
――ファンドが投資することで、企業にはどんな利点があるのでしょうか。
「大きく2つある。1つが中長期の目線に立って経営できることだ。PEが投資すれば株主と経営陣が一体となる。解決すべき課題と判断すれば、短期的な利益を犠牲にしてでも取り組むことができる。上場する多くの企業は株主への配慮もあり、大胆な改革にはなかなか踏み切れない」
「もう1つが、PEが投資する時間軸がはっきりしている分、経営に規律が働くことだ。時間が限られるからこそ、今やるべきことは何かを真剣に考える。ファンドは短期志向だと言われがちだが、それは全くの誤解だ。むしろ時間コストという考えがなければ、経営者は面倒なことを塩漬けにしがちだ」
――企業の事業売却は増えています。
「大企業の事業構造転換や、それに伴うカーブアウト(非中核事業の切り離し)はまだ道半ばだ。一部の大手電機メーカーでは進んできたが、環境がとりわけ厳しかったからであり、他の業界には広がりきっていない」
「多くの企業経営者は利益の出ている会社をなぜ売るのかと考えてしまう。大切なのは追い込まれる前に、様々な選択肢があるうちに中長期のあるべき企業像を考えて行動することだ。医薬大手の大衆薬事業など、戦略的な判断による良い売却例も出てきた」
――日本企業の経営をどうみていますか。
「大組織の中から出てきた人が最後の数年間で経営をやるという構造になっており、最高経営責任者(CEO)としての準備が足りない。何もできずに任期を終えてしまいやすい。変化を促すよう、社外取締役の能動的な関与も重要だ。私も住友商事の社外取締役を約5年間務めているが、議論はかなり活発化したと思う。複数の社外取締役が関わることで、社内のメンバーの意識も変わっていく」

えはら・のぶよし 78年に米モルガン銀行(現JPモルガン)入社。80年に米ゴールドマン・サックスに入社し88年に日本人初のパートナーに。東京支店を5~6人から1000人規模に拡大し96年退任。98年にユニゾン・キャピタル設立。69歳

(日本経済新聞)

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