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ITによる格差 コロナで加速 変わる世界、投資機会に 米カーライル・グループ創業者 デビッド・ルーベンスタイン氏  2020/7/24

新型コロナウイルスの感染拡大によって世界は根底から揺さぶられた。世界経済は今後どう変容を迫られるのか。米財界を代表する一人、米投資会社大手カーライル・グループの共同創業者、デビッド・ルーベンスタイン氏に聞いた。
――コロナ禍が広がる前の昨年、パンデミック(疾病の世界的大流行)が金融市場のリスクだとすでに指摘していた。
「動物と人間との交わりが深まれば、動物が持つウイルスが人間にうつる危険は高まる。これは『スピルオーバー』というデビッド・クアメン氏の著作で何年も前から指摘されていた。新たなウイルスが出てくることは常に潜在的なリスクだ」
――コロナ禍は世界をどう変えたか。
「国境を越える移動ができず、国際的な投資も抑えられて世界経済は苦境に陥った。影響はこの先何年も続くだろう。人々の行動は変わり、自宅で過ごす。誰も予想できなかった事態だ」
「より深刻なのは新興国だ。特にドル建ての対外債務の多い国は自国通貨安が進めば返済が困難になる。需要の減退をみて先進国の企業は投資を絞ることになるだろう。エネルギー価格の下落による影響も気がかりだ」
――グローバル企業の経営トップはコロナ禍をどう捉えているのか。
「リモートで管理することが以前考えていたほどは難しくないと感じている。従業員の側も多くは自宅で働くことに抵抗がない。ただ一方で、コロナ前の水準に需要が戻るのは容易でなく、従業員数やオフィスは以前より少なくていいと多くの経営者は考えている」
「世界は大きく変わりつつあり、新たな投資機会が確実にある。医療分野は大きな投資対象となるだろう。5年後の姿を聞かれれば、コロナ禍から完全に立ち直っていることを願うが、多くの企業がデジタルやリモートによる業務へシフトしているはずだ。将来有望な分野が出てくる」
――資本主義が抱える問題がコロナ禍で浮き彫りなったのでは。
「資本主義は完璧ではないが、ほかに優れたシステムはない。広がる所得格差をどう是正し、社会階層の流動性を高めていくか。資本主義は再定義を迫られている」
「最も懸念するのは、コロナでできた『クレーター(大きなくぼみ)』に落ちて抜けられなくなる人が続出する事態だ。パソコンを使えてネットにつながる人と、そうでない人との格差が一段と広がる。コロナ後の新たな世界に対応できない企業は行き詰まり、教育を受けていない人は職を得られぬまま転がり落ちてしまう。深刻な問題だ」
――いまの金融市場で「ブラックスワン(予測不能なリスク)」は。
「核物質の拡散を心配している。テロが各地で広がるようだと波乱要因になりかねない。経済大国間で戦争のような事態に陥らないことを願う」
――今秋に控える米大統領選への見方は。
「民主党のバイデン氏が選ばれれば、トランプ政権の多くの政策は覆されるだろう。特に気候変動対応や対イランの強硬姿勢は転換するとみる」
――日本への見方は。
「日本が10年、15年後も国内総生産(GDP)で世界3位にいられるとは思わない。海外投資が必要だし、移民を受け入れるのも一つの方法だ。ただ一番重要なのは、起業がもっと増える経済にすることだ。新たに企業を立ち上げグローバルな企業に育てる起業家が日本は少なくなっている」
(聞き手は編集委員 藤田和明)
David Rubenstein 1987年に米投資会社、カーライル・グループを立ち上げた創業メンバー。米外交問題評議会や世界経済フォーラムなどの中核として米財界を代表する一人。73年、シカゴ大学ロースクール卒。

(日本経済新聞)

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