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ブラックロック、開示不十分なら役員選任反対  気候リスク、議決権行使厳しく 運用会社、女性登用でも圧力 2021/06/04

ブラックロック・ジャパンは気候変動リスクへの対応を厳格化した=ロイター
6月の株主総会シーズンを前に、資産運用会社が議決権行使の基準を厳格化している。ブラックロック・ジャパンは気候変動リスクへの情報開示が不十分な場合などに取締役の選任に反対する。女性取締役の登用など取締役会の多様性を求める運用会社も増えている。環境対応と企業統治(コーポレートガバナンス)の両面で企業への圧力が強まっている。
ブラックロック・ジャパンは2月に改定した議決権行使ガイドラインで、気候変動リスクへの対応を厳格化した。事業への影響が大きい気候変動などのリスクに対して情報開示が不十分な場合、担当の取締役の選任に反対する。
三井住友トラスト・アセットマネジメントも今年からESG(環境・社会・企業統治)関連の行使基準を厳格化した。温暖化ガス排出量などの情報開示を対話で求めても企業に変化がない場合、取締役の選任議案への反対を検討する。ESG関連の取り組みは企業との対話にとどまってきたが、「ESGと議決権行使を明確に結びつける」(同社)。

気候変動の対応は6月の株主総会の焦点の一つだ。環境団体の気候ネットワーク(京都市)など4団体は三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)に対し、国際的枠組みであるパリ協定に沿った経営計画の策定などを定款に盛り込むよう求める株主提案を出した。気候ネットワークは昨年、みずほフィナンシャルグループに気候変動対策に関する提案を出し、30%を超える支持を集めた。
MUFGは2050年までに投融資先を含めて温暖化ガスの排出量を実質ゼロにすると宣言しており、改めて定款に盛り込むのは適切ではないとの立場だ。6月29日の株主総会で株主提案の賛否に注目が集まる。
海外では米石油大手エクソンモービルが5月下旬に開いた総会で、気候変動対策の強化を求めて物言う株主が推薦した取締役候補4人のうち3人が選任された。機関投資家が議決権行使をちらつかせるようになった日本でも、企業の環境対応が待ったなしになっている。
運用会社が監視の目を強める背景には、近く改定を予定する企業統治指針(コーポレートガバナンス・コード)がある。22年4月の市場区分の変更に伴い、東証1部に代わる最上位市場のプライム市場が創設される。プライム市場に上場する企業は取締役会の3分の1以上を独立した社外取締役で構成するように求める。
主要国の金融当局が設立した「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に沿う情報開示も原則必要になる。
気候変動とともに機関投資家が重視するのは、取締役会の多様性だ。米アライアンス・バーンスタインは21年から取締役会に女性が一人もいない場合に経営トップの選任に反対すると決めた。

米ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズは東証株価指数(TOPIX)500の構成企業で女性取締役がゼロの場合、社長ら上位3位の取締役の選任に反対する。米ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントは20年から女性取締役の基準を導入しており、昨年だけで約500社に反対票を投じた。
東京市場では外国人の株主比率が約3割、個人は2割弱を占める。環境対応や取締役会の多様化を求める投資家は増えており、企業の対応が遅れれば総会で反対票が膨らむ可能性がある。
一方、新型コロナウイルスの影響で業績が不透明な企業には一定の配慮をする。三井住友DSアセットマネジメントはROE(自己資本利益率)や業績などの数値基準を機械的に適用せず、個別企業の状況を踏まえて判断する。野村アセットマネジメントも昨年同様に一律適用せず、今後の感染収束の動向を見ながら適用の再開時期を検討する。

(日本経済新聞)

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