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二重苦の国内運用会社 手数料減少・資金海外へ 2021/07/27

国内の資産運用会社の経営環境が厳しい。2021年3月期は株高にもかかわらず、大手9社のうち6社が前の期比で減益だった。個人マネーが米国株などに向かうほか、低コストの投資信託への資金シフトも続く。大手金融グループ傘下の日本の資産運用会社は、独立系が大半の米国と比べて存在感が低い。独自の投資戦略で「横並び」を脱却する必要がある。

最大手の野村アセットマネジメントは21年3月期の営業利益が前の期比で4%減、売上高にあたる営業収益は同7%減った。収益性の高い「野村インド株投資」など主力投信の資金流出がかさんだ。

21年3月期は新型コロナウイルス下での金融緩和で株価が大幅に上昇した。投資信託協会によると、上場投資信託(ETF)を除く公募投信の純資産総額は3月末時点で約76兆円と1年前より約3割増えた。

運用業界の苦境は手数料の低下が象徴する。運用会社などが受け取る信託報酬は、ETFを除く公募投信で8年連続で減った。運用歴が長く、信託報酬の高い投信が嫌気され、株価指数に連動した低コストの「パッシブ型」投信に資金が流れる傾向が顕著だ。

運用会社別の資金流入額で上位に入った三菱UFJ国際投信も1%減益と苦戦した。業界最低水準の信託報酬を目指すパッシブ型投信は好調だが、古参の債券型投信などから資金が流出した。

個人マネーの海外シフトも逆風だ。コロナ下では株価が堅調な米国株で運用する投信が人気を集めている。21年3月期のETFを除く資金流入額は、1位はアセットマネジメントOne(約8900億円)だが、2位に米アライアンス・バーンスタイン(約7300億円)、4位に米系のティー・ロウ・プライス・ジャパン(約3500億円)など海外勢の躍進が目立つ。

国内の運用会社が海外資産に投資する場合、同業の外資系に実質的に運用を委託するケースが大半だ。報酬を分け合う形になるためにもうけは限られる。

金融庁は6月に公表した資産運用業に関する報告書で、「アクティブ運用でも実質的に指数連動型に近いものがある」と指摘した。市場平均を上回る運用を目指すとしながら成績が振るわず、運用会社自らがアクティブ投信からのマネー離反を招いている面がある。

これに対して、海外の運用大手は堅調だ。世界最大手の米ブラックロックの4~6月期の純利益は前年同期比14%増えた。債券型ETFが好調で、6月末までに運用資産は1000兆円を超えて過去最高になった。海外は業界再編を繰り返し、規模拡大で収益力を底上げしてきた経緯がある。

日本では19年に2社が統合して三井住友DSアセットマネジメントが誕生したが、それ以降の再編は下火だ。国内では大手金融グループ傘下の運用会社が多く、垣根を越えた経営統合に発展しにくい。

各社は運用力の強化に活路を見いだす。三井住友DSは海外株の自前運用を強化する。三井住友トラスト・アセットマネジメントは業績や統計など伝統的なデータとは異なる「オルタナティブデータ」を使った運用体制を整え、横並びの運用からの脱却を急ぐ。

(日本経済新聞)

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