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米運用大手「経済再開銘柄」に妙味 キャピタル・グループ スティーブン・ワトソン  LCCやホテル株有望  2021/08/21

新型コロナウイルスの感染再拡大が続くなか米国やドイツ、インドなどの株価指数は最高値圏を保ち、投資妙味のある銘柄の発掘は難しくなっている。長期投資を基本とする投資家はどう動くのか。2.6兆ドル(約285兆円)の運用資産を持つ世界有数の資産運用会社、米キャピタル・グループで旗艦ファンドの運用に携わるポートフォリオ・マネジャー、スティーブン・ワトソン氏に経済の先行きや運用方針を聞いた。

――世界経済の回復ペースには陰りもみえます。

「新型コロナの感染拡大については変異ウイルスの出現など予測しづらい面はあるが、ワクチン接種の進捗で状況は好転しており、世界経済の先行きには楽観的な見方をしている。特に米国経済の今後3~5年の見通しは明るい。政府の数兆ドルにものぼる財政政策による刺激策も期待できる」

「ワクチン接種が進む欧州でもここ数カ月の経済回復は想定以上で、過去数年の停滞感を払拭するような底堅さが期待できる。新興国も天然資源の輸出増による恩恵を受けられる。日本も金融緩和による緩やかな経済成長がみられるだろう。各地域の度合いには差があるが、全体として景気拡大が見込める場面だ」

――では、株式市場の先行きにも強気でしょうか。

「世界景気の見通しは明るいが、世界の株式はバリュエーション(株価指標)でみると割高となっている銘柄がほとんどだ。企業の実力に比べて現時点で市場が過小評価し、投資に値する銘柄を見つけるのは難しくなっている。私の分析では、米国よりも米国以外の幅広い株式市場でこうした銘柄を発掘できるケースが多くなっている」

「当社は個別企業の業績動向の分析など徹底したボトムアップ型手法と、複数のポートフォリオ・マネジャーでの運用を投資哲学としている。あくまで私の見方だが、コロナ禍からの経済再開に伴う恩恵を受ける銘柄に投資妙味があるとみている。長期間の『巣ごもり』から解放された人々の移動は加速するためだ」

――具体的にどんな銘柄でしょう。

「例えば私が投資しているのは、欧州の格安航空会社(LCC)だ。コロナ禍で政府の支援を受けられずに財務が悪化した航空大手がいるなか、市場シェアをうまく伸ばすことができたLCCもある。今後のメンテナンス需要の伸びが期待できる航空部品メーカーや世界的なホテルチェーンなどの観光関連株も有望だ」

「企業の生産活動の再開も重要な要素だ。新興国の鉄鋼関連株や、日本の工作機械や建機といった資本財にも注目している」

――「脱コロナ」以外の視点は。

「外部の経済環境に左右されず独自に業績を向上させる力がありながらも、過小評価されている銘柄が存在する。例えば欧州の銀行株だ。長年にわたり業績悪化に苦しんでいたが、経営の立て直しに向けての再建策が奏功し始めた銘柄も出てきた」

――先行きのリスクをどうみますか。

「新型コロナの加速的な感染再拡大やインフレ率の急騰は、可能性としては低いが否定できるものではないと考えている。長期的には財政赤字の拡大は緩やかながら確実に国家の経済の重荷となるだろう」

「米長期金利も当面の2年間で0.3~0.4%程度の幅で緩やかに上昇する可能性はあるが、それでも低水準にとどまるため株式市場の脅威とはならないだろう。経済正常化や運送の停滞によるサプライチェーンの混乱で高インフレが散発的にあったとしても一時的となり、基本的には低インフレが続くとみている」

(聞き手は大西康平)

 Steven T. Watson 米キャピタル・グループの旗艦ファンド「ニューパースペクティブ・ファンド」の運用メンバーのひとり。投資経験は33年と長く、うち31年はキャピタル・グループに在籍。現職以前は欧州やアジアの運輸株などのアナリストとして活動。

(日本経済新聞)

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