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VC、海外マネー調達増 インキュベイト、比率46% 投資額は欧米となお開き 2021/09/21

国内ベンチャーキャピタル(VC)が海外からの資金調達を増やしている。独立系のインキュベイトファンドの新ファンドは約5割を海外投資家が占め、コーラル・キャピタルは約3割に達した。日本のVCはこれまで国内の資金に頼り、海外からの調達比率は数%だった。新たに海外マネーを巻き込めるようになれば、新興企業への支援余力も高まる。

インキュベイトが8月に創設した161億円のファンドの海外投資家比率は46.6%となった。北米の大学基金やアジアのファンド・オブ・ファンズからも資金を集めた。新ファンドは既存の投資先に1社10億~25億円を追加出資する。従来の出資額は1社1億~5億円だった。

コーラルが8月に発表した140億円の新ファンドも約3割を海外から集めた。米ペイパル創業者のピーター・ティール氏が率いるファウンダーズ・ファンドやシンガポール政府系ファンドのパビリオンキャピタルなどが出資した。

ワン・キャピタルが5月に締め切った160億円のファンドも、北米やアジア、欧州のヘッジファンドなどから資金を集めて海外比率は約4割に達した。

日本のVCファンドはこれまで主に国内事業会社や金融機関から資金を調達していた。スタートアップ支援のベンチャーエンタープライズセンター(東京・千代田)の調査をもとに集計すると、2020年設立のファンドが海外から調達した比率は3%にとどまった。

ここにきて海外マネーが集まるようになった要因は2つある。

1つはVCの運用成績の開示だ。VCの業界団体である日本ベンチャーキャピタル協会(東京・港)は20年に会員の運用成績をまとめた指標の公開を始めた。海外投資家への日本市場の認知度が高まると同時に海外投資家にとっても日本のVCへの投資による収益を予測しやすくなり、投資対象とみるようになった。

2つ目は中国リスクの高まりだ。中国政府はIT(情報技術)企業への規制を強め、海外の株式市場への上場について慎重な姿勢を打ち出している。中国の新興企業の先行きへの不透明感が強まるなか、投資家は資金を東南アジアや日本などに振り向けている。

ただ日本でのスタートアップ投資額は海外各国に届かない。KPMGインターナショナルと米調査会社のピッチブックによると、21年4~6月の日本国内の投資額は約8億ドル(約880億円)だった。米国(750億ドル)や英国(89億ドル)、ドイツ(60億ドル)を大きく下回る。

「スタートアップ間の競争が激化し、勝者の1~2社が市場を総取りする可能性がある」。デロイトトーマツベンチャーサポート(東京・千代田)の斎藤祐馬社長はこう指摘する。

海外との差を埋めるには、海外マネーをテコにさらに投資資金を集めて支援に回す仕組みづくりが必要だ。

(日本経済新聞)

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