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世界のファンド、企業買収総額2.4倍で最高 1~9月95兆円 緩和で資金調達力増す 2021/10/14

英スーパー4位のモリソンズには複数の投資ファンドが買収提案を出した=ロイター

世界で投資ファンドによる企業の買収が急増している。2021年1~9月の買収総額は約8400億ドル(約95兆円)と前年同期の2.4倍となり、過去最高を更新した。新型コロナウイルス感染拡大で事業再構築に動く企業と、世界的な金融緩和で調達力が増したファンドの思惑が一致。ファンドによる信用創造が循環し始めている。

10月初め、英スーパー4位のモリソンズの買収者に米投資ファンドのクレイトン・ダビリアー&ライス(CD&R)が決まった。買収額は70億ポンド(約1兆800億円)にのぼる。ソフトバンクグループ(SBG)傘下の米投資ファンド、フォートレス・インベストメント・グループなどと買収合戦になった結果、55億ポンドから63億ポンド、そして70億ポンドへ値がつり上がった。

モリソンズは100年以上の歴史を持つ老舗スーパーで、電子商取引(EC)の普及や同業他社との価格競争などで収益モデルの抜本的な改革を迫られていた。ファンドの下で株式を非公開化し、中長期的な事業再構築に専念する。

金融情報会社リフィニティブによると、1~9月のファンドによる企業買収は約1万800件で前年同期比7割増えた。同社は「過去最高を更新した」とリポートしている。

モリソンズのように新型コロナをきっかけに、企業が大がかりなデジタル化に踏み切ったり、ESG(環境・社会・企業統治)に合った事業構造に転換したりする必要性が高まっている。短期の利益を度外視して取り組まないと難しい改革だ。

実際、成長投資用の資金を捻出するため、ファンドを活用する企業もいる。独通信大手ドイツテレコムは米国事業に資金を投下するため、オランダ子会社を英ファンドなどに売却すると9月に発表した。対価の一部でソフトバンクグループが保有する米通信大手Tモバイル株を取得する。

リフィニティブの調査では、10%台前半にとどまっていたM&A案件に占める「ファンドが買収者」の割合も21年に19%へ急上昇した。存在感が増したのは、投資ファンドの資金調達力が高まっていたからだ。

ファンドの未使用の投資枠はコロナ禍前に1兆ドル規模に積み上がっていた。足元でコロナが終息する気配が出てきたことで、企業もファンドもポストコロナへ動き始めたとも言える。スイス大手のパートナーズ・グループが9月に設立完了した新ファンドは150億ドル(約1兆7000億円)。前回の2.5倍だ。

日本もファンドによるM&Aは活発だ。M&A助言のレコフによると、ファンドや投資会社による1~9月の買収総額は約2兆3000億円。前年同期の2.4倍で、17年1~9月の約2兆8000億円に次ぐ水準だ。

日本への投資機会が多いと見た外資系ファンドも動きは活発だ。米ベインキャピタルは今春、日本特化のファンドを約1100億円で設立した。スウェーデンのEQTは10月に日本拠点を開設し、企業投資部門の責任者にゆうちょ銀行系のファンド出身の鬼塚哲郎氏が就いた。

今から8年前の13年、米IT大手のデルが投資ファンドと組んで株式を非公開化した。本業をパソコンからクラウド関連事業などに転換するためだ。世界で余った資金がファンドへ流入している背景には、ファンドが投資実績を積み、信用が高まっていることとも無縁ではない。

(和田大蔵)

(日本経済新聞)

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