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米投資ファンド、上場株・私募投資に活路 1~6月、買収成立・金額2割減 2020/8/21

【ニューヨーク=伴百江】未公開企業の買収で実績を重ねてきた米投資ファンドが軌道修正を迫られている。新型コロナウイルスの余波で、新規株式公開(IPO)や他社への売却といった出口戦略が滞り、上場株や私募投資などに活路を見いだしている。
米調査会社ピッチブックによると、2020年1~6月期に投資ファンドによる買収が成立した案件は2173社。金額は計3267億ドル(約34兆3千億円)と前年同期に比べていずれも2割減った。コロナ禍で買収先企業の潜在的価値が下がり、先行きの投資リスクが高まったためだ。
「エネルギーや航空、旅行などの業種で大型買収を成立させるのが難しくなっている」。カーライル・グループのキューソン・リー最高経営責任者(CEO)は4~6月期決算説明会でこう話した。アポロ・グローバル・マネジメントは4~6月期にエネルギーなどコロナの打撃を受けた企業への投資で約10億ドルの損失を計上した。
買収の合意後に先送りしたり、破談になって訴訟に発展したりする例も相次ぐ。米法律事務所の調べでは今年4月から6月末までに、投資ファンドの買収関連で訴訟になった件数は過去10年を上回るという。
未公開企業から有望な案件を発掘するのが難しい状況で、代替先として上場企業への私募投資(Private Investment in Public Equities PIPES)も加速している。米調査会社アランカによると、4~6月期の投資案件のうちPIPESは68%を占め、LBO(借り入れで資金量を増やした買収)の12%を大きく上回った。
経営が悪化した企業に対象を絞るディストレスト・ファンドも活発になってきた。アポロやブルック・フィールド・アセット・マネジメントが同戦略を強化している。上場企業による事業部門の売却は減少傾向だったが、コロナ禍で再び増加に転じ、ファンドが資金を投じている。
投資先企業の価値が急低下し、買収した未公開企業を上場したり、他社に売却したりすることが難しくなった。ピッチブックによると、1~6月期にIPOや他社への売却は392件で前年同期から25%減少。金額は1348億ドルと32%減った。「大手ファンドは投資家に、従来ほどリターンを期待できないとの見通しを示した」(ピッチブック)という。
ファンドの顧客である機関投資家は現状を冷静に受け止めている。調査会社プレキンによると、ファンドの運用パフォーマンスが「今後1年間で悪化する」とみる機関投資家は46%。「向上する」は23%だった。一方、投資ファンドに振り向ける資金を今後減らすと答えた投資家は10%にとどまった。
プレキンによると7月末時点でファンドが抱える未投資資金は業界全体で約1.7兆ドルに上る。最大手のブラックストーン・グループでは1560億ドル(約16兆円)に達する。ブラックストーンは19日、武田薬品工業の大衆薬事業を買収する方針を固めた。投資ファンドは軌道修正を迫られながらも、リターンが期待できる大型案件には積極的に資金を投じている。

(日本経済新聞)

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