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米ファンドABG、アパレルの「ディズニー」狙う  破綻のブルックス買収で急成長 2020/10/24

米投資ファンドのオーセンティック・ブランズ・グループ(ABG)が経営破綻した著名アパレル企業を相次ぎ買収し急成長している。ブルックス・ブラザーズやフォーエバー21、バーニーズ・ニューヨークなどを傘下に収め、日本での事業拡大も視野に入れる。ジェイミー・ソルター最高経営責任者(CEO)に経営戦略を聞いた。

ABGのジェイミー・ソルター創業者兼CEO

――経営破綻したアパレル企業を買収する狙いを聞かせてください。
「我々は通常の買収ファンドのように買った企業を売却して利益を得ることが目的ではない。紳士服に強いブルックスや若い女性向けのフォーエバー21など、国際的な認知度を持つブランドを買収して伝統的な価値に磨きをかけることで、ファッション分野で一大経済圏をつくりたい」
「高級路線のバーニーズは店舗を全て閉めた一方、大手小売業にバーニーズの名前を貸すライセンス契約が収益になる。服を販売する小売事業とライセンスビジネスが2つの柱だ。今後は子供用衣料にも進出し、家族全員のライフスタイルを提案できる『ディズニー』のような存在を目指す」
――傘下のブランドはかつて一世を風靡しながら失速しました。
「経営破綻した理由はブランド力のなさでも、商品力の弱さでもない。すべては負債など財務上の問題で、新型コロナウイルスが追い打ちをかけた。ブルックスがいい例だが、店舗の賃貸費用の借り入れに失敗し、運転資金が枯渇したところばかりだ。不採算店を閉め、債務を整理すれば十分勝算がある」
「ブルックスは今後、不採算店を閉店する。同時に年末までに著名なデザイナーを就任させ、若者に支持されるカジュアルな商品を導入し再出発をはかる」
――衣料品販売もネットシフトが鮮明です。
「ブランドをABGが統括する電子商取引(EC)プラットフォームにのせる。表面上、各ブランドのECサイトはそのままだが、バックエンドを統合することで調達、製造、配達を集約し、コスト削減につなげる」
「顧客データを集約することでよりピンポイントな販売促進策を打てるようになる。ネットシフトが進んだ将来、店舗は『ショールーム』となり、在庫スペースを減らし、展示と商品の試用がメインになるだろう」
――日本を含めたアジア戦略をどうしますか。
「売上高の4割は米国外だ。ECを積極化し海外の需要を一段と取り込む。2021年以降、日本をはじめとするアジア各国で会員制のサービスを始める」
「日本でも販売サイトを立ち上げる。すでに伊藤忠商事やスポーツ用品のグローブライド、繊維商社の豊島など数社と業務提携をしており、日本市場特有の消費動向、嗜好などの開拓と対応に力を借りるつもりだ」
■ブランド再建で成長
ABGは米ニューヨークに本拠を置く投資ファンド。傘下にアパレルやライフスタイルを中心に約50のブランドを抱える。経営難に陥った著名ブランドを買収して再建する事業モデルで、傘下企業の売上高は1兆円を超える。18年に買収したカジュアル衣料品ノーティカでは若者向け衣料を増やして人気を復活させた。
 消費動向がコロナ前に戻るか不透明ななか、不採算店のリストラとオンライン事業に軸足を移すと同時に、ブランド力を生かしたライセンス事業に力を入れる。ソルター氏の戦略が当たれば、新たなブランド帝国が生まれるかもしれない。
(ニューヨーク=河内真帆)

(日本経済新聞)

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