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60代社員を現役並み処遇 人材確保、住友化学は給与倍増 2023/07/16

人手不足が深刻になる中、シニア人材の処遇を現役並みに改善する動きが出てきた。住友化学は2024年から60歳以上の社員の給与を倍増。村田製作所も24年4月以降、59歳以前の賃金体系を維持しながら定年を65歳に引き上げる。「人生100年時代」を迎え、労働市場で比重が高まる60代以上が意欲を持って働くシニア雇用の環境づくりが欠かせない。

住友化学は24年4月から定年を60歳から段階的に引き上げ最終的に65歳に変更。引き上げ対象は組合員の営業、製造、専門人材ら全職種で、年収は59歳末時点と同水準にする。60歳以降は希望者を再雇用してきたが、給与水準は4〜5割程度に抑えていた。今回の改定で、60歳以降の給与水準は約2倍に増える。

住友化学では現在3%の60歳以上の比率が10年以内に17%と急増する見通しだ。「人材確保が容易ではなく、シニア人材の一層の戦力化が急務」(同社の人事担当者)として労使で合意に至った。

村田製作所は60歳以上の賃金体系を見直すと同時に、64歳までの間で自由に定年を設定できる選択定年制を採用し、キャリアを自律的に決められるようにする。

背景にあるのが労働市場の変化だ。産業界ではバブル崩壊で40〜50代は採用数が急減する一方、90年前後の好景気に大量採用したバブル期世代がまもなく60歳定年を迎え人手不足の懸念が強まっている。50代以下の現役世代の人口は減少に向かい、リクルートワークス研究所によると、40年に1100万人の人手不足が見込まれる。

こうした中で期待がかかるのがシニア世代だ。総務省の労働力調査によると、22年は60歳以上の働く人は1454万人で就業者全体の21.6%を占めた。65〜69歳の就業率は50.8%と過去10年で約14ポイント上昇し、2人に1人が働く時代だ。今後も上昇が見込まれる。

業種別で最も人手不足が強い飲食・宿泊業界では、管理職や現場リーダーなど重責のポジションをシニアが担う制度に変える動きが出ている。

うどん店「丸亀製麺」を手掛けるトリドールホールディングス(HD)は4月、現場責任者の年齢上限を65歳から70歳に引き上げた。丸亀製麺など傘下の主要3社ではアルバイト・パート経験者に限り就労年齢制限をなくした。

ロイヤルホールディングス(HD)は4月以降、60歳で定年退職した正社員で、65歳までの有期で再雇用するシニアを対象に賃上げする。標準モデルで年収が1割程度増える。これまで正社員の年収の78%だったのを85%程度まで高める。

役職定年制度の撤廃を検討する動きもある。アシックスは59歳に達する従業員はその年度の1月以降に原則、役職に登用しない規定があるが、「見直しや廃止を含めて検討をしている」という。

21年施行の改正高年齢者雇用安定法で70歳までの就業機会確保が企業の努力義務となり、定年延長や再雇用の動きが広がっていた。ただ、多くは給与水準が低く、ポジションも限られるなど、シニアには仕事への意欲を高めにくい状況だった。

米国では年齢で雇用条件を差別することが禁止され、一部の職種を除き定年制度はない。米ギャラップ社によると、現在働いている人の退職希望年齢は22年時点で66歳と20年前に比べ3歳上昇しており、シニアの働く意欲は高まっている。

日本は終身雇用の慣行が続いたため、定年制を設けて労働力の新陳代謝を図る方法が一般的だった。法政大学の山田久教授は「シニアの活用促進は避けて通れないが、年功型の人事制度を改め、中堅若手の活躍の場を減らさない工夫も必要だ」と指摘する。

(日本経済新聞)

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