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米フィンテック株、期待剥落 ピーク比8~9割安 規制やアップル参入打撃 DX関連は堅調 2022/06/10

米株式市場で有力フィンテック企業への期待が剥落している。米利上げで個人の投資意欲が冷え込み、スマートフォン証券や暗号資産(仮想通貨)交換会社大手の株価は昨年つけた最高値から8~9割低い水準にある。米アップルの参入などで競争が激しくなる後払いサービスへの売り圧力も強い。デジタルトランスフォーメーション(DX)支援など有望視されている分野もあり、投資家の選別が強まりそうだ。

8日の米株式市場ではスマホ証券のロビンフッド・マーケッツの株価下落が続き、前日比で約4%安になった。米証券取引委員会(SEC)のゲンスラー委員長が同日、株式市場の改革を進める考えを重ねて表明。個人の売買で「手数料ゼロ」を掲げ急成長した同社の収益モデルにメスが入ることを警戒した投資家の売りが広がった。
仮想通貨交換のコインベース・グローバルも苦戦が続く。2021年4月の上場時の時価総額は759億ドル(約10兆円)に達した。だが、足元では150億ドル程度に縮んでいる。
米国の新興フィンテックの代表といえる両社は業績が急激に悪化。ロビンフッドは22年1~3月期の純営業収益が前年同期比43%減、コインベースも27%減った。
米連邦準備理事会(FRB)の急速な金融引き締めへの懸念から株式相場は今年に入って下落基調をたどる。ビットコイン価格が最高値の半分以下になるなど仮想通貨も急落した。両社の顧客の売買も大幅に減り手数料収入が落ち込んでいる。
クレジットカードを持たない人などの買い物代金を立て替える後払いサービス「BNPL(バイ・ナウ・ペイ・レイター)」の事業者にも逆風が強まる。
大手のアファーム・ホールディングスは米アマゾン・ドット・コムとの提携などを通じて利用者を急拡大してきた。22年に入って金利の急上昇や景気の悪化懸念が浮上し、投資家は支払い遅延や貸し倒れの増加による業績悪化を警戒している。
競争も激しい。米アップルは6日、決済サービス「Apple Pay(アップルペイ)」の利用者が金利を負担せずに4回の分割払いができる機能を米国で追加すると発表。アファームなどBNPL事業者の株価が下げる場面もあった。
米フィンテック各社は、新型コロナウイルス対応の財政出動と金融緩和を追い風にしたリスク資産価格の上昇や個人消費の拡大で急成長を遂げた。21年には有力企業が相次ぎ上場を果たし市場の高い評価を受けた。だが企業価値が押し上げられていた分、環境が変わった時に投資マネーが抜け出すスピードも速い。
積極採用を続けてきた各社は一転、人員削減に踏み切っている。ここ数年で従業員数を700人から3800人に拡大していたロビンフッドは4月下旬、正社員を約9%削減すると表明。ブラッド・テネフ最高経営責任者(CEO)は「変化する顧客ニーズに対応するために正しい決断をした」と強調した。
コインベースも今月、新規・中途採用の停止や内定の一部取り消しを表明。同社の人事を統括するL・J・ブロック氏は「市況を考慮すればまともな判断」と説明する。米民間雇用調査会社チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスによると、フィンテック企業の1~5月の人員削減は2059人と前年同期の3.7倍に膨らんだ。
フィンテック大手への期待が完全に消え去ったわけではない。5月には仮想通貨交換大手FTXの創業者、サム・バンクマン・フリード氏がロビンフッドの株式7.6%を取得したことが明らかになった。同氏はSECへの報告書でロビンフッドを「魅力的な投資先」と指摘した。
BNPL事業も消費者保護に向けた規制強化論が浮上する一方、利用者層の開拓など規模の拡大を期待する声は根強い。
モルガン・スタンレーのアナリスト、ジェームズ・フォーセット氏は7日付のリポートで「アップルペイとアファームなどの利用者層は異なり、幅広いサービスを提供するアファームの競争力は引き続き評価できる」と買い推奨を維持した。
金融DX関連の企業は業績・株価の堅調さが目立つ。税務管理ソフトを手がける米ブルコラの22年1~3月期の営業利益は前年同期比21%増えた。6月8日時点の株価は昨年末の水準を1%ほど上回って推移する。
投資家は厳しい環境下でも成長を続けられる企業を見極めることになりそうだ。
(ニューヨーク=斉藤雄太、フィンテックエディター 関口慶太)

(日本経済新聞)

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