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国際政治経済最新情報

International Political Economy Updates

世界の人口増、1%割れ 戦後成長の支えに転機 中国減少、印首位へ 国連22年推計 2022/07/13

世界人口の年間増加率が、統計を遡れる1950年以降で初めて1%を割り込み最低となったことが、国連が11日に発表した推計で明らかになった。人口規模が世界最大の中国も長年の「一人っ子政策」などが響いて2022年から人口減に転じ、23年にはインドと逆転する。人類史でも特異な20世紀の経済成長を支えてきた人口爆発は近く終わりを迎える。

国連は19年以来、3年ぶりに世界の人口推計を改定した。世界的な少子高齢化や新型コロナウイルスの影響で、世界人口の増加率は20年に初めて1%を割り込み、22年は0.83%まで落ち込んだ。1%割れが明らかになったのは今回が初めて。

産業革命を経て世界人口は1900年の16.5億人から100年間で約4倍に急増し、20世紀の繁栄の基盤となった。2022年11月15日に80億人に達すると国連は予測するが、2086年に104億人でピークを迎えるとみる。前回推計ではピークは2100年の109億人としていたが、大幅に前倒しした。

これまでは主要な働き手である生産年齢人口(15~64歳)の比率が高い「人口ボーナス」が経済成長の重要な源泉だったが、急速な少子高齢化で好循環は幕を下ろそうとしている。

その象徴が中国だ。14億人という世界最大の市場はグローバル経済の需要を生み出してきた。ただ2022年7月1日時点の人口は前年より6000人減った。

2019年の前回推計では32年から中国の人口が減り始めると見積もったが、10年前倒しとなった。50年時点で13億1200万人、2100年には7億6600万人に減る。それぞれ前回推計より9000万人、3億人下振れした。23年にはインドの人口が中国を抜いて世界最大となる。

中国の人口増加と急速な都市化は、01年の中国の世界貿易機関(WTO)加盟もあって、世界の経済成長を押し上げてきた。今後は都市に移り住む人も高齢化し、経済を押し上げる力は弱まる。

23年に中国を抜くインドも、63年の17億人弱でピークを迎える。その後、人口増が目立つのはアフリカくらいだ。ただインドやアフリカは産業育成や雇用拡大が人口増加に追いつかない恐れがあり、中国のような世界経済のけん引役となるのは期待しにくい。

今後は少ない働き手が多くの高齢者を支える「人口オーナス」という逆風下にある国が増え、これまでのような経済発展を続けるのは難しくなる。自動化や人工知能(AI)の活用などで生産性を高め、人口増に頼らない成長モデルを示した国が国際社会の新しい主役になる。

(北京=川手伊織)

(日本経済新聞)

人口の重心はアフリカへ 50年に3割が集中、国連推計 2022/07/12

世界の人口地図は今後100年で大きく変化する。国連が11日発表した世界人口推計では、経済発展を遂げてきた中国など東・東南アジア地域の人口が2030年代半ばに減少に転じると予測した。今後台頭するのはアフリカで、50年には世界人口の3割に達する。豊富な若年人口を労働力に生かせれば世界経済のけん引役になりうるが、実現には課題もある。

足元である22年に世界で最も人口が多い地域は中国やインドネシアなどを擁する東・東南アジアで、世界の29%を占める23億人が生活する。次いでインドなどの中央・南アジアが21億人(26%)。中国、インドの人口はそれぞれ14億人で、3位の米国(3億人)に大差を付ける。

中国は22年に人口減少に転じ、インドも人口増加ペースが鈍化する。台頭するのがアフリカ地域だ。中でもサハラ以南のアフリカは足元ですでに欧州・北米と同じ人口規模に達しており、人口増加率も2.5%と高い。22年から50年にかけ、同地域の人口はほぼ倍増し、40年代後半には20億人を超す。

22年から50年までの世界人口の増加の半分以上は、コンゴ民主共和国、エジプト、エチオピア、インド、ナイジェリア、パキスタン、フィリピン、タンザニアの8カ国に集中すると国連は推計する。中でもコンゴ民主共和国とタンザニアは22年から50年にかけ、年率2~3%台の人口増が予想される。

世界全体の人口増加は鈍っている。世界全体の合計特殊出生率は1960年代に5.3まで高まり、人口爆発が懸念されたが、衛生環境や医療の整備、家族計画の普及などで出生率は低下を続け、足元では2.3まで下がった。サハラ以南のアフリカは依然4を上回るが、北アフリカ・西アジアで2.8、中央・南アジアで2.3と、人口が長期的に増えなくなる置換水準の2.1に近づいている。

出生率が低下しても高齢化には時間がかかるため、労働に適した年齢の人口が全体に占める割合が高まる。いわゆる「人口ボーナス」局面だ。サハラ以南のアフリカの大半の国、アジア、ラテンアメリカ・カリブ海諸国の一部は人口構成が成長に追い風となる。

人口ボーナスは日本の高度成長や東アジアの急速な発展を後押しした。国連の報告書は「良好な年齢分布による利益を最大化するために、すべての年齢層でヘルスケアと質の高い教育への機会を確保するとともに、質の高い雇用を生み、人的資本の発展に投資すべきだ」と強調する。

ただアフリカが世界経済のけん引役となれるかどうかは不透明だ。マリは8人に1人、ニジェールでは2.5%しか高等学校相当の教育を受けていない。ケニアは42%が高校を卒業しており、同地域の中では経済発展への期待が高いが、それでもインフラや教師の不足が慢性化しているという。貧困根絶も課題だ。

ビジネス環境の厳しさも課題だ。2050年に世界4位の人口規模となるナイジェリアは非政府組織(NGO)トランスペアレンシー・インターナショナルの「腐敗認識指数」調査で180カ国中154位、世界8位に浮上するコンゴ民主共和国も同169位だ。内外の投資を取り込んで発展を目指すには依然としてハードルが高い。

(マクロ経済エディター 松尾洋平)

(日本経済新聞)

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