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AIユニコーン、北米で急増 「生成」向け投資、1~3月1.7兆円 価値急上昇に警戒感も 2023/06/28

文章や画像を自動でつくる生成AI(人工知能)分野のスタートアップによる資金調達が北米を中心に相次いでいる。「Chat(チャット)GPT」を手掛ける米オープンAIなどはユニコーン(企業価値10億ドル以上の未上場企業)の仲間入りを果たした。投資増で課題解決が早まる期待は大きいが、企業価値が急速につり上がることへの警戒もある。

カナダのコーヒアは6月上旬、米半導体大手のエヌビディアなどから2億7000万ドル(約380億円)を調達したと明らかにした。これにより、企業価値は20億ドル超に達したとみられ、ユニコーンになった。コーヒアのエイダン・ゴメス最高経営責任者(CEO)は「生成AIは初期の興奮状態からビジネスを加速する段階に移っている。当社が変革を先導する用意がある」と力を込める。

コーヒアはオープンAIなどと並び、生成AIの基盤である大規模言語モデルを自社で手掛ける。「企業向けに特化しており、用途に合わせたAIの開発や訓練ができる」(ジェイロン・ワルドマン最高製品責任者)

文書作成や情報の要約といった機能が業務の効率化につながるとみて、生成AIの導入意欲が強い企業は多い。一方でAIが学習する情報の誤りや偏り、重要なデータを外部に渡すことへの懸念がある。コーヒアは企業が自社のデータセンターで生成AIを使えるようにしている点が強みだ。

米調査会社CBインサイツによると、生成AI分野のユニコーンは世界で13社と、2023年に入って6社増えた。金利上昇などを背景にスタートアップ投資が落ち込むなかで「逆行高」の色彩を強めている。

企業向けサービスに生成AIを生かす米グリーンもユニコーンの一社だ。社内の情報を検索できるソフトウエアを手掛ける。たとえば、特定の商談の進み具合を会話形式でAIに尋ねると、ビジネスチャットや顧客情報管理(CRM)など企業が使う複数のアプリから適した情報を探し出す。その案件に詳しい社員が誰かも教えてくれる。

利用者がアクセス権を持つ内容だけを表示し、部署や階層で分けた情報管理が可能だ。アービンド・ジェインCEOは「検索にとどまらず、各社員が頼んだ作業をこなす助手のようなAIサービスに進化させたい」と意気込む。5月末に日本にも進出した。

黒子としてインフラを担う企業も登場した。米トゥギャザーは独自のデータ圧縮技術で空きがある複数のデータセンターをつなげ、計算能力を生成AIの学習向けに提供する。5月に2000万ドルを調達した。ビプル・プラカシュCEOは「多くの場合、コストを10分の1程度に抑えることができる」と説明する。

急激な資金流入には懸念もある。米調査会社ピッチブックによると、23年の生成AIスタートアップへの投資は3月までに120億ドル強(約1兆7000億円)と、早くも22年通年の3倍に迫る。資金調達した会社の企業価値の中央値は22年の2倍に膨らんだ。

評価の高騰を受け、ベンチャーキャピタル(VC)からは「この先は投資家を後から呼び込むのが難しくなる」との声も上がる。現状は「バブルだ」との見方で多くが一致する。

優劣を分けるのは資金力だけではない。AIに特化したVC、ラディカル・ベンチャーズのロブ・テーブズ氏は「一流のAI人材は希少だ。他社にはないデータを持つことも顧客を集める貴重な武器になる」と指摘する。

(シリコンバレー=山田遼太郎、渡辺直樹、奥平和行)

(日本経済新聞)

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