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AI Impact  AI進化、人類の真価問う 秩序揺るがす存在に 比類なき言語能力、10年で獲得 2023/04/18

人工知能(AI)の進化が新たな段階を迎えた。人間をしのぐほどの高度な言語能力を獲得し、幅広い知的作業を担い始めた。人類は「自らより賢い存在」となりつつあるテクノロジーとどう向き合うべきか。

あなたが米国の政治家だとしよう。民意を把握するための重要な情報の一つが、メールを通じて支持者らから届く言葉だ。もしその文章を書いたのが人間ではなく、AIだったとしたら――。

3月、米コーネル大の研究者が興味深い実験結果を報告した。7千人超の州議会議員にAIが書いたメールと人間が執筆したものを送り、見分けられるかを調べる内容だ。検証から導いた結論は「区別できなかった」。AIが有権者のごとく「民意」を述べるようになれば、民主主義の前提が崩れかねない。

歴史学者のユヴァル・ノア・ハラリ氏は著書「サピエンス全史」で、現生人類のホモ・サピエンスが地上の覇者となった理由に「比類なき言語」を挙げた。今やその特権は人間だけのものではない。この10年でAIは急速に発達し、約40億年に及ぶ生物の進化の果てに人類が築いた聖域に足を踏み入れた。

強まる規制論

米新興オープンAIが2022年11月に公開した「ChatGPT(チャットGPT)」は高度な対話能力を備え、世界の利用者は2カ月で1億人を超えたとされる。優れた性能が喝采を浴びた当初と異なり、足元では「鋭すぎる利器」への警戒が高まる。

「変化を予測し、備える必要がある」。米IT大手に厳しい態度で接し「GAFAの天敵」とも呼ばれた欧州委員会のベステアー上級副委員長は3月、演説で訴えた。秩序を揺るがす存在としてチャットGPTを挙げ、影響を注視する。偽情報の生成やサイバー犯罪への悪用が危惧され、規制論も台頭し始めた。

新たな技術を拒むことが解とは限らない。米ゴールドマン・サックスは3月、チャットGPTなど生成AIと呼ぶ技術が世界経済に及ぼす影響をリポートにまとめた。普及が進むと生産性が向上し、世界の国内総生産(GDP)を7%押し上げると予測する。

「考えを整理し、どこから手をつけるべきかヒントをくれる」。米スタンフォード大でデータ科学を学ぶリズワーン・マリクさんにとってチャットGPTは頼れる相棒だ。同大の学生新聞の1月の調査では学生約4500人のうち、17%が課題や試験にチャットGPTを使ったと答えた。人とAIが知的作業で協働する光景は着実に広がる。

チャットGPTをうまく使えば資料や報告書の作成を劇的に効率化できる。オープンAIが3月に発表した最先端の「GPT-4」はさらに進化し、米司法試験の模擬試験で上位10%に入る知的水準を獲得した。

次の産業革命か

テクノロジーは過去にも人間のありようを変えてきた。18世紀からの産業革命では機械化が進み手工業者らが職を失う一方、後の飛躍的な経済成長につながった。「同様の役割をAIが担う可能性がないとは言えない」。AIが雇用や職業に与える影響の研究で著名な英オックスフォード大のマイケル・オズボーン教授は指摘する。

技術のインパクトに比例し、生じる光も影も強くなる。米インディアナ大の推計では126の専門職のうち開業医やマーケティング専門家、翻訳者など75%に相当する95職種はチャットGPTにより多くの業務が代替される。工場勤務者や小売店員の5~9%より格段に高く、幅広い知的労働で雇用の減少につながる可能性がある。

「AIの進化」が問うのは「人類の真価」だ。現代思想に詳しい記号学者の石田英敬氏は「もっともらしく見えるAIの答えを疑う態度が重要だ」と指摘する。近代哲学の祖、デカルトは「方法的懐疑」により、徹底して疑い、考える主体に存在価値を見いだした。高度な知能をもつAIが登場した今こそ、変化に対応する思考力が必要となる。

(日本経済新聞)

AI Impact判断力磨き直すとき 精巧な虚構も生成 2023/04/19

3月、トランプ前米大統領が警察に拘束される画像がツイッターで出回った。現実に起きた事象だと脳が錯覚を起こす。精巧な偽画像が社会にあふれている。

米中対立のはざまで揺れる台湾でも、SNS(交流サイト)で偽情報がはびこる。「多くが中国大陸からだ」。台湾で年間数千万件ものファクトチェックを手掛けるIORG共同創業者は指摘する。

「AIが偽情報を大量生成し、人間の不安心理をあおることもできる」(游氏)。その警鐘は現実となっている。

世界10大リスク

米調査会社グラフィカは、SNSで米国の銃政策を批判する架空の番組を発見した。アナウンサーの動きは英国企業のAIで作られたとみられる。

米調査会社ユーラシア・グループは2023年の10大リスクに「大混乱生成兵器」としてAIを挙げた。虚実混交する現実に、国立情報学研究所の越前功教授は「信頼の根幹が揺らいでいる」と語る。国際調査会社イプソスによると、AI企業を信頼する人はフランスで34%、米国で35%。中国(76%)などと差があり、日欧米で不信感が強い。

動画共有アプリ「TikTok(ティックトック)」などAIで好みの情報が集まる「フィルターバブル」も、分断を生む温床となる。価値観と違う情報を遠ざけ、孤立を招く。それでもAIは日常に溶け込む。

「リーダーシップを発揮した経験は?」。同志社大学の小林悠人さん(仮名、21)は2月、採用面接に臨んだ。相手はAIの面接官で、スマホに志望動機を話しかけた。

小林さんも対策にAIを駆使。キャリアボット(東京・世田谷)のサービスを使い、「ChatGPT(チャットGPT)」でエントリーシートを添削した。

AIで選別しようとする企業に、AIで備える学生。AI対人間ではなく、AIとAIのどちらが優れているかを競う。

AIが人間の意思決定を支配するのか。富山大学の佐藤裕教授は「既存情報に沿っているに過ぎず、正解だと考えるのは錯覚で危うい」と強調する。実際、AI離れが表面化し始めた。

「AIに株価を予想させようとは思わない」。米ゴールドマン・サックスでAIの運用部隊を率いる諏訪部貴嗣氏は断言する。

人間に揺り戻し

AIで運用するヘッジファンドの成績を指数化したエウレカヘッジの指数は、17年末から23年2月までの上昇率は12%。米国株のS&P500種株価指数の5割上昇に比べて見劣りする。判断は再び人間へ、金融で揺り戻しが起きている。

IORGの游氏は台湾の学校計約300校と協力。授業テキストを提供し、情報判断力を学生時代から鍛える重要性を訴える。東京工業大学の笹原和俊准教授は、偽情報を作る体験をしたグループとしないグループとで、だまされやすさに差が出るかの実験を近く始める。「身をもって体験することが、だまされないための第一歩だ」と語る。

何が正しくて、何が間違っているのか――。判断力を磨き直すことが問われてくる。

(日本経済新聞)

AI Impact「AIネーティブ」揺れる教育 人づくりの未来どう開く 2023/04/21

受け入れか、排除か。優れた対話能力をもつ人工知能(AI)「ChatGPT(チャットGPT)」などの扱いを巡り、学びの場が揺れている。

「教育現場におけるAI活用のフェーズが変わった」。3月下旬、チャットGPTを含むAIの活用指針を公表した東京外国語大の青山亨理事は語る。従来のAI活用は機械翻訳のように「言語を学ぶ補助」の枠内にとどまっていた。

自然な文章で高度な質問に答えるチャットGPTが教育現場で普及すれば、言語を学ぶ意義自体が問われかねない。それでも東京外大は「テクノロジーの進化は止められない」(青山理事)と、授業での活用ルールを教員と学生で定めるよう促した。

東京大も4月、AIだけを使った論文作成は認めないが活用法の議論を始める方針を示した。上智大は教員が許可した場合を除き、リポートや論文を書く際に使うことを禁止した。

世界でも対応は割れる。米ニューヨーク市は学校での使用を禁止した。一方でシンガポールのチャン・チュンシン教育相は「受け入れることを指導しなければならない」と容認する。

これからは幼少期からAIが身近な「AIネーティブ」が社会を担う。「既に答えがある問題」はAIで対処できる。知識の暗記と再生のうまさを評価する教育は意味をなさなくなる。

高校教諭出身でAIを使った教育に詳しい佐藤俊一・元山形大教授は「疑問を持つことは人間にしかできない。課題を見つけて問いを立て、定まった正解がない中で最適解を模索する『探究型』学習への転換が急務だ」と訴える。

AIを使いこなすには人も能力を高め続けなければならない。世界ではチャットGPTを高度な作業に利用する技能「プロンプトエンジニアリング」を習得する動きが拡大し、国内のビジネス現場でも体制づくりが猛スピードで進む。

生活関連サービスを手がけるくふうカンパニーもその一つで、4月に入社した社員約20人にまず教えたのはAIを使う際の基礎的素養や注意点だった。約1週間の準備期間を経てチャットGPTを活用した新事業案の発表会も開いた。

同社の目標は今の世にない画期的なサービスの創出だ。そのためにはAIからアイデアを引き出し、新たな価値を生み出す社員を育てる必要がある。急速な環境変化に対応するため、カカクコムやクックパッドの経営に携わってきた穐田誉輝最高経営責任者(CEO)は新卒社員に「(AIの力を)自ら感じ、使いこなしてほしい」と呼びかける。

AIによる研究が進む囲碁でも人間同士の勝敗を分けるのは思考力となる。

史上最年少の13歳11カ月でタイトルを獲得した仲邑菫女流棋聖は「AIが示す手だけ打っていても失敗する。自分の棋風に合った手を打つのが一番大切だ」と語り、国内第一人者の井山裕太王座も「AIをどう自分なりの手に落とし込むかが大事」と強調する。

AIが進化するなかで人が学ぶべきことは何か。答えを見いだしたとき、人づくりの未来が開く。

(日本経済新聞)

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