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AR・VR特許の競争力、マイクロソフト首位 メタバース需要狙う 3位ソニー、技術開発加速 2022/03/08

仮想空間「メタバース」への入り口として注目される拡張現実(AR)・仮想現実(VR)端末の技術開発競争が激化している。日本経済新聞などが関連特許の競争力を調べたところ、首位は米マイクロソフトだった。ソニーグループや米メタ(旧フェイスブック)が追い上げている。メタバースをスマートフォンの次の主戦場とみて、各社は技術革新による用途開拓も急いでいる。

VRはコンピューターグラフィックス(CG)を専用のゴーグルで見るのが一般的で、仮想空間の世界に入り込む感覚を生かしゲームなどで活用されている。ARはCGなどを現実世界と重ねて表す。米ナイアンティックのゲーム「ポケモンGO」のほか、工場など作業現場で使われている。センサーなどを駆使して現実世界との一体感を高めたARは複合現実(MR)とも呼ばれる。

日本経済新聞が特許調査会社パテント・リザルト(東京・文京)と共同で、米国で公開されたAR・VR端末の関連特許を調べた。各社が持つ特許について、競合他社が類似特許として引用した回数などをスコア化。スコアが高いほど競争力のある特許と評価できる。

2021年末時点の首位はマイクロソフトで6222ポイントだった。米スタートアップのマジックリープが5150ポイントで2位。2627ポイントのソニーGが3位で、4~7位は米アップル、米クアルコム、メタ、米グーグルが1000ポイント台で競う。

マイクロソフトは16年からMR端末「ホロレンズ」を展開している。現実空間と仮想コンテンツを重ねる際に遅延を減らす技術や、現実世界で起こる物体の位置変化を的確に視覚化する技術などMR関連の技術が高い評価につながった。

19年発売の「ホロレンズ2」は操作性を高め、視野の範囲も広げた。同端末を使うトヨタ自動車は、実車に車部品の情報を重ねて表すことで整備作業を効率化した。日本マイクロソフトは「これまでデジタルの恩恵を受けにくかった現場の最前線の人が効率的に働けるようになる」と話す。

収益面に課題も
2位のマジックリープは10年創業で、NTTドコモやグーグルなどから出資を受けている。ディスプレーの光学特性や消費電力を改善する技術、仮想コンテンツの管理・表示に関する技術がスコアに寄与した。

AR・VRは16年ごろからスマホの次の端末として期待されてきた。ただ、いまのところはゲームや一部の産業用途など限定的な使い道にとどまる。特許競争力では首位のマイクロソフトも収益面は課題が残り、海外メディアでは次世代製品の開発の難航や関連人材の流出も報じられている。

今回の調査からは、先行して特許を積み上げてきた米2社をソニーGやメタが追い上げる構図も浮かび上がった。

ゲーム機につないで遊ぶ「プレイステーション(PS)VR」を16年から展開するソニーGは3位に入った。ゲーム対戦競技「eスポーツ」などバーチャル観戦の技術が目立った。客席に座って大勢の観客と観賞するようなライブイベントが可能になる。

ゲームに立体感
1、2月には最新ゲーム機「プレイステーション5」と組み合わせて遊ぶ「PSVR2」の仕様や外観を順次発表。立体的な音響や触覚再現の技術でキャラクターの脈拍上昇や、頭の近くを物が通ったときの衝撃をリアルに体験できるという。

4位以下ではメタバースを主力事業に据える6位メタの伸びが目立つ。

メタは14年に米オキュラスVRを買収してVR端末の展開を進め、端末の世界シェアで首位。21年はメタバース領域に100億ドル(約1兆1500億円)規模を投じた。スコアは200以下だった17年から21年末時点で1383まで上昇し、グーグルを抜いた。

高い評価を得たのはユーザーの脳活動に基づき仮想物体を動かすシステムや、仮想空間でユーザー同士が対話するためのデータ制御に関する技術だ。メタは外部人材の獲得も積極的。パテント・リザルトの調べでは、メタの関連特許の発明者のうち約40人は、過去にマイクロソフトに在籍して特許を出願していた。

4位のアップルは電子機器を用いて家具などの仮想物体を表示する技術などが評価された。参入観測が高まるARの専用端末に生かされる可能性がある。

米調査会社IDCによれば、AR・VR端末の世界出荷台数は25年に4387万台と、21年の4.5倍に増える。AR端末は23年以降に普及し25年には3分の1を占める見通しだ。正林国際特許商標事務所の伏見浩氏は「ARは現実世界の情報を取り込む分、やれることも多い」と指摘する。

上位はテックや電機大手が占めたが、従業員教育にVRを導入する米バンク・オブ・アメリカが19位、米ウォルト・ディズニーが20位に入った。端末を活用する企業側も特許を蓄積していることがうかがえる。

今後は端末の一層の薄型・小型化などが課題となる。AR技術に詳しい技術者は「最新端末では映像を表示するシステムの小型化が進んでおり、安定して量産できるかが鍵」と話す。

メタバースに詳しい中央大学の岡嶋裕史教授は「今後10年かけて端末は進化し、ユーザーは完全な没入感を得られるようになるだろう」と予測する。メタバースの本格普及に向け、端末の技術革新から目が離せない。

(龍元秀明、大越優樹)

(日本経済新聞)

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