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EV販売、中国勢ずらり 昨年トップ20に12社入り、国策が後押し  2位上海汽車、格安車で 首位テスラ、トヨタ29位2022/03/18

2021年の電気自動車(EV)販売台数をメーカー別に集計したところ、上位20社・グループ中12社が中国勢となった。2位の上海汽車集団は米ゼネラル・モーターズ(GM)との合弁で格安車をヒットさせ、比亜迪(BYD)も勢いづく。中国は国策でEVを後押しする。首位の米テスラは中国市場がけん引する。トヨタ自動車は29位で日本勢の存在感は薄い。

調査会社マークラインズのデータと各社の発表を基に日本経済新聞が集計した。テスラは小型車「モデル3」(約550万円、米国での最低価格)と小型多目的スポーツ車(SUV)「モデルY」(約740万円)が人気で前年比9割増の93万台だった。世界のEV販売450万台強の約2割を占める。販売を押し上げているのが中国市場だ。19年に上海工場を稼働させ21年に中国での生産と販売が米国を超えた。

その中国でテスラを急速に追い上げるのが2位の上海汽車だ。前年比2.4倍の59万台を販売した。上海汽車は自社で大衆ブランド「栄威」などのEVを販売するが、けん引役は格安EV「宏光MINI EV」だ。同社が50.1%を出資する上汽通用五菱汽車が開発・製造し、価格は約50万円。自転車や電動バイクなどに代わる生活の足として、中国の地方都市を中心にヒットしている。

上汽通用五菱は商用バンを手掛けてきたノウハウを生かし、宏光MINI EVではブレーキを簡素化したり半導体などで汎用品を活用したりして機能を絞りコストを抑えた。自動運転などにも対応する高度な機能を持つテスラと対極のコンセプトで、21年は42万台を販売。上海汽車のEV販売の約7割を占めた。

上汽通用五菱にはGM(中国名が通用汽車)も44%出資している。GMは自社の販売台数に上汽通用五菱も含めて公表しており、その場合GMのEV販売は50万台超になる。格安車を先兵に、EV時代の中国での足場を強化しようとしている。

GM本体は小型車「シボレー・ボルトEV」(約370万円)や大型車「ハマーEV」(約1300万円)などを販売しているが21年の実績は約4万3千台で21位にとどまる。

4位BYD2.4倍
中国の21年のEV販売は291万台と世界の6割超を占めた。中国政府は車メーカーにEVなど「新エネルギー車」を一定比率で生産することを義務付け、35年をめどに国内販売の5割にする目標を掲げている。

上位20社・グループには上海汽車を含む中国勢12社が入った。国策を後押しに勢いが鮮明だ。

4位のBYDは主力のセダン「漢」(約400万円、中国での最低実売価格)などが人気で前年比2.4倍の32万台を販売した。電池技術に強みを持ち、普及価格帯にセダンからSUVまで幅広いEVをそろえた。

中国ではEV専業の新興勢も台頭している。小鵬汽車、上海蔚来汽車(NIO)、合衆新能源汽車など4社が20位以内に入った。小鵬汽車、NIOは月間の出荷台数が1万台を超えるなど生産が軌道に乗りつつあり、年間販売も10万台に迫る。

日本勢出遅れ
他方、日本勢の出遅れは明らかだ。

日産自動車、仏ルノー、三菱自動車の日仏連合が24万台で5位になった。だがガソリン車なども含む21年の世界新車販売の上位10社で、EV販売で20位に届かなかったのはGMのほかトヨタ、ホンダ、スズキの4社。販売台数に占めるEV比率はトヨタが0.1%、ホンダが0.3%と低い。

EV比率が高い企業は脱炭素銘柄として株式市場の期待を集めやすい。19年末と3月14日時点の株価を比べると、EV専業のテスラが9倍、NIOが3.5倍のほか、EV比率が43%のBYDは4.6倍となった。

全般的にEV比率が低い既存大手も巻き返しを急いでいる。米フォード・モーターは22年春に発売予定のピックアップトラック「F-150」のEVを既に20万台受注している。25年までに300億ドル(約3兆5400億円)を電動化に投じる計画を表明し、EV比率は1%と低いが株価は19年末と比べて7割上昇した。

トヨタも22年に初の量産EV「bZ4X」を発売し、30年までに4兆円を投じてEVの世界販売台数を350万台に引き上げる計画を掲げる。既存大手は今後、ガソリン車で稼ぎながらEVの開発を効率的に進められるかが焦点となる。

英調査会社LMCオートモーティブは22年の世界のEV販売台数を21年比で5割増の約700万台と予測する。勢力図は大きく変化する可能性がある。

(山田遼太郎)

(日本経済新聞)

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