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EYの分離計画、米国の反対で頓挫 利益相反の解消先送り 2023/04/14

英国に本部のある大手会計事務所のアーンスト・アンド・ヤング(EY)で、会計監査とコンサルティングなどの非監査部門を分離する計画を中止することが明らかになった。規模が大きい米国法人に慎重論が根強く、グローバルでの分離計画が頓挫した。二分野の利益相反を解消してコンサルの成長余地を広げる戦略はゼロから練り直しになった。

分離を見送った最大の要因は、売上高や人員規模が大きい米国で税務部門の人員を分けることに慎重論が強かったことだ。税務処理の確認は会計監査で極めて重要だ。一方で、コンサルティング部門でも複雑化する国際税務の対応などの需要は大きい。分離すると監査とコンサルの双方で税務人材の確保が困難になるとの懸念が最後まで解消できなかった。

EY本部は米国法人の意向を無視できない。2022年度の全体の売上高は454億ドル(約6兆円)と過去最高で、そのうち半分近くは北米などで稼ぐ。監査業務とコンサルティング業務の売上高は140億ドル前後で拮抗しているが、ここ8年間の平均成長率は監査(5%)をコンサルティング(12%)が上回る。

会計監査は高い独立性が求められるため、コンサルティングなど監査以外のサービスを同時に提供することには厳しい制限がある。EYから会計監査を受けている企業はコンサルティングを受けられないのだ。分離すればEYの監査先にもコンサルティングを提供できるようになり、成長余地の大きいコンサルをさらに伸ばす狙いがあった。

それだけではない。EYは分離した非監査部門を、新規株式公開(IPO)する青写真を描いていた。ところがインフレ対策で米連邦準備理事会(FRB)など主要地域の中央銀行が利上げを進め、株式市場に逆風が吹いた。米銀破綻などもあって投資家のリスク回避姿勢が強まり、IPOでの資金調達のハードルが高まったことも分離見送りに傾いた要因の一つだ。

日本事業を統括するEYジャパンは突然の分離見送りに困惑する。EYジャパンでは、分離を前提に監査やコンサルティングなど各法人の社員らに意義についての説明を進めていたところだった。EYジャパンの貴田守亮会長兼最高経営責任者(CEO)は「社内の人間には分離中止を顧客に丁寧に説明するように指示を出した。しっかりサポートしていきたい」と語った。

監査と非監査の分離にEY以外の大手会計事務所は慎重だ。デロイトグローバルのジョー・ユクザーグルCEOは3月、世界のパートナーにあてた動画をウェブサイトで公開。「多くの専門領域を持つことで顧客には幅広いサービスを、社員・職員には多様なキャリアパスを提供できる。分離の必要はない」との見解を示した。

ただ、監査部門の分離は大きな流れになる可能性がある。監査の独立性を巡って欧州を中心に規制が強化されており、EYはさらに締め付けが強まる前に先んじて分離に動く意図があった。EYを始めとした大手会計事務所は非監査部門の分離という課題に再び向き合う日が来るかもしれない。

(企業財務エディター 森国司、ロンドン=山下晃)

(日本経済新聞)

会計事務所EY、監査・税務などの分離計画を取り下げ 2023/04/12

【ロンドン=山下晃】大手会計事務所のアーンスト・アンド・ヤング(EY)はコンサルティングや税務部門を分離する案を取り下げる。監査部門とその他業務の利益相反を解消するために検討を続けてきたが、米国の経営陣が強く反発したとみられる。11日に英フィナンシャル・タイムズ(FT)などがEYの社内メモを確認したと報じた。

会計事務所はコンサルティングや税務などの事業が収益をけん引している。一方で、監査業務を提供している企業から、監査以外の業務に関わる収入を受け取るのは利益相反が生じかねないという構造要因がある。

英国では2018年の大手建設会社の突然の経営破綻をきっかけに、監査の妥当性に対する批判が高まった。英政府は21年に大手会計事務所に監査とそのほかの業務を運営上、分離するように要求する改革案をまとめていた。

(日本経済新聞)

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