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IPO準備 AIで効率化 ユニフォース、チャットGPTが回答 キテラ、社内規定作成クラウド 2023/08/16

企業の新規株式公開(IPO)の準備を効率化するスタートアップが増えている。2020年設立のUniforce(ユニフォース、東京・渋谷)は人工知能(AI)を活用し、必要な作業などを提示するクラウドシステムを開発した。IPOに関わる監査法人では人手不足が強まる。新興勢の技術で関係者の負担が減れば「IPO監査難民」の解消につながる。

ユニフォースのシステムは「IPO準備クラウド」。目標とする上場時期を設定すると、いつまでに何をする必要があるかを提示する。具体的な質問に対し、対話型AI「Chat(チャット)GPT」で回答する機能もこのほど追加した。

労務や法務の整備、ガバナンス(企業統治)の構築、株主管理、エクイティ(株式)ストーリーの作成に対応する。従業員や取引先に反社会的勢力と関係が疑われる人物がいないかを調べる「反社チェック」などについて具体的な作業工程をツリー形式で表示する。

証券会社や監査法人、印刷会社など関係者と資料を共有したり、メッセージを送ったりする機能も備える。従来は電子メールや外部のファイル共有サービスを使うことが多く、やり取りに膨大な時間がかかっていた。

システムは大手監査法人でIPO業務を担った公認会計士が中心となって開発し、東京証券取引所のガイドラインを参考に作り込んだ。利用料は月10万円からだ。

店舗支援事業などを手掛けるmov(モヴ、東京・渋谷)は同システムを導入。「IPO準備に費やす時間は月40時間と従来から4割ほど減らせた」(諸見里卓最高財務責任者=CFO)という。

ユニフォースは事業拡大に向けて第三者割当増資で5億3000万円を調達した。砂田和也代表は「証券会社出身者を採用し、サービスの質を高めていく」と語る。3年後に導入企業数で700~800社を目指す。

「予備軍」は増加

上場準備を始めるのは、年間の資金調達額が5億円を超えたかが目安の一つとされる。情報データベースのINITIALによると、この水準の国内スタートアップは18~22年に1500社超と、その前の5年間に比べて約3倍だ。一方、最近のIPO数は年100社前後で推移する。

背景にあるのは監査法人や証券会社の人手不足だ。監査契約などを結んで支援を受けられるのは「800~1000社程度」(大手監査法人)にとどまる。社内体制が未熟なため支援してくれる監査法人が見つからない「IPO監査難民」の問題も指摘される。

こうした状況の解決に新興勢が動く。社会保険労務士向けシステムなどを手掛けるKiteRa(キテラ、東京・港)は、就業規則や取締役会規定などIPO準備に必要な約50の社内規定を簡単に作成するクラウドサービスを始めた。画面上の設問に回答するだけで、法制度に準拠した独自規定を作成できる。

7月には、法改正に伴って改訂が必要な部分をAIが抽出し、改定案や参考条文を提示する機能も追加した。足元ではIPO準備で20~30社が利用する。これを24年をめどに70社程度に引き上げる目標だ。

人件費を管理
予算・実績管理クラウドを手掛けるDIGGLE(ディグル、東京・港)は24年前半にも、人件費をきめ細かく管理する新機能を投入する。月次の目標売上高や1人あたりの商談数、給与水準などを基に人件費の予算を立てられるようにする。

会計システムと連携して実績も自動で取り込めるようにする。利用企業は予算と実績の差異を迅速に分析でき、証券会社や取引所に業績の見通しを説明しやすくなる。

22年末に上場したオープンワークはディグルのサービスを利用する。10日ほどかかっていた月次実績見込みの更新がリアルタイムでできるようになり、経営判断に役立っているという。

投資家にとっても、新規上場企業のガバナンスや業績の安定性は重要な要素だ。新興勢のサービスがIPO準備の質を担保する「インフラ」として機能すれば、市場の活性化を後押しできる。

(新興・中小企業エディター 鈴木健二朗)

(日本経済新聞)

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