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IT人材転職、+200万円 流通・小売りの厚遇目立つ イオン、年収最大2000万円も 金融・運輸も高給 2022/08/31

IT(情報技術)人材の市場価値が高騰している。民間データによると、6月末時点の転職時の年収は全職種の平均と比較すると14%増で75万円高い。業種別では「流通・小売り」が最も高く同約200万円の差がある。イオンやビックカメラは相次ぎ新会社を設立。優秀な人材には2000万円近い給与を提示する事例もある。デジタルトランスフォーメーション(DX)の緊急性が高い業種ほど高給を支払う傾向があり、給与格差は今後も広がりそうだ。

エン・ジャパンの人材紹介サービス「エンエージェント」における中途採用の月別新規求人の募集時年収を分析した。募集状況は月ごとのばらつきが大きいため、6カ月移動平均をとり12業種別に分析した。IT系職種(エンジニアなど)と全職種の年収の差は「流通・小売り」が最大で42%増の194万円だった。

日本経済新聞の調べでは、イオングループは優秀なIT人材の獲得のため最大2000万円近い年収を提示する。子会社のイオンスマートテクノロジー(千葉市)では、アプリ開発などデジタル施策のマネジャー職を年収1100万~1960万円で募集している。中核事業の総合スーパー(GMS)では平均年収が500万円前後に抑えられている子会社もある中、待遇差が目立つ。

次世代ネットスーパー事業を開発中の子会社イオンネクスト(千葉市)は2月、最高技術責任者(CTO)に、米グーグル出身でグルメサイト運営会社のCTOを務めた樽石将人氏を招いた。グループ初のジョブ型雇用を取り入れ、年齢や社歴ではなくスキル重視で人材を集める。

新会社で柔軟に
日本企業は人事や給与に年功序列的な要素など旧来型の仕組みが残る。このためIT人材の獲得には、柔軟な制度を導入しやすい新会社を設立する例が目立つ。ニトリホールディングスは4月に子会社を設立し、年収1300万円も可能な賃金体系を整えた。ビックカメラも2022年にも子会社を設立し、5年以内に200人程度を採用する。

他の業種では「金融・保険」が170万円、「運輸・交通・物流・倉庫」も103万円を上乗せしている。「ITによる変革余地が大きい業界ほど切迫感を持って人材を集めている」と指摘するのは「エンエージェント」事業責任者の藤村諭史氏。人員不足が深刻な労働集約型からの脱却や顧客接点のデジタル化への対応を急ぐ企業は、好待遇で即戦力を求める。

荷物増で効率化が急務なヤマト運輸。需給予測や配送手配の精度の向上をめざし、データサイエンティストなど100人程度を中途採用した。エンジニア専用の人事制度を20年4月に導入し、専門性や能力に見合った報酬を提示している。日本IBM出身の中林紀彦執行役員は「エンジニア職に合った評価制度や給与体系を導入しないと人材は集まらない」と話す。

動き鈍い業界も
コンサルティング業界もIT人材を高給で囲い込んでいる。高水準の給与に、さらに169万円を上乗せする。資生堂や住友化学はアクセンチュアと共同出資会社を設立し、アクセンチュアが抱えるエンジニアの活用や人材採用を進める。

一方、大胆な施策を打ち出しにくい業界もある。「メーカー(機械・電気・電子)」「不動産・建設・設備」などでは全職種に比べたIT人材への上乗せ額が数十万円にとどまる。パーソルキャリアが運営する転職サービス「doda」の大浦征也編集長は「重厚長大産業の大企業は人事制度が硬直的で動きが鈍い」と指摘。メーカーは社内に理系人材を多く抱えており、中途採用に依存しなくてもリスキリング(学び直し)で対応しやすいとの指摘もある。

足元でもIT人材の争奪戦は激しさを増す。19年以降の年収差の推移をみると、「流通・小売り」「金融・保険」などの業種が直近の半年で大きく広がった。

経済産業省が18年に発表した「DXレポート」によれば25年以降、IT人材不足で最大年間12兆円の経済損失が生じる可能性があるという。人材確保で後れを取れば、企業はDX対応が進まない。勝ち残りには給与体系や人事制度の見直しを迫られそうだ。

(日本経済新聞)

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