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IT人材難、低賃金が拍車 求人倍率10倍 2022/05/29

企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)が加速するなか、IT(情報技術)人材の不足が強まっている。求職者数に対する求人数の割合である求人倍率は約10倍に急上昇し、全職種で突出して高い。IT職種の賃金が相対的に低いことが人材を集めにくくしている。背景には日本企業の賃金が欧米のように職種の市場価値に応じて決まらず、年功序列の要素が根強いことがある。DX推進の障害になりかねない。

「人材争奪戦が顕著になってきた。内定を出しても辞退が増えている」。富士ソフトの広瀬敦子人財開発部長は話す。ITコンサル事業の強化などで2022年度は技術系人材の中途採用を約430人と23年春の理工系大卒採用並みを計画するものの、人材確保は容易ではない。
パーソルキャリア(東京・千代田)の大手転職情報サイト「doda」によると、IT技術職の毎月の新規求人倍率は19年に3~5倍だったが、21年12月に初めて10倍を超えた。22年3月は9.5倍と営業職(2.8倍)や販売職(0.4倍)を上回る。新型コロナウイルス下にあらゆる業種でデジタル化が進みIT技術職の求人が拡大する一方、求職者は伸び悩んでいる。

旭化成は21年、DXエンジニアに特化した採用サイトを設け、素材開発への人工知能(AI)活用など自社のIT業務の魅力を訴える。だが「従来の中途採用の条件では難しい」(堀江俊保常務執行役員)。ノジマもIT人材の採用を増やすものの、登山征一人事労務グループ長は「事業経験とIT知識を兼ね備えた人材が見つからない」と話す。
旺盛な需要に人材供給が追いつかない理由の一つは、日本のIT職種の賃金が相対的に低く、働き手にとって魅力的でないからだ。dodaによれば、21年のIT職種の平均年収は438万円と19年比4%減った。ITスキルを持っていても十分に評価されないため人材が流入しにくく、賃金の押し上げ効果が弱い。

海外は職種ごとに賃金体系が異なる「ジョブ型雇用」が浸透しており、賃金が各職種の市場の需給で決まる。米コンサル大手マーサーの21年の調査によると、人材不足の米国や中国はIT・ネット職(上級専門職)の年収中央値が全職種(同)の中央値を8~10%上回る。一方、日本は全職種中央値より2%低い。市場の需給が賃金に反映されにくい。
日本も一部でジョブ型雇用が増えつつあるが、なお職種の限定されない「メンバーシップ型雇用」が多い。経団連の19年の調査では、社外から専門人材を採用する場合、65%の企業が「一般社員と同じ人事賃金制度を適用している」と答えた。「個別に処遇を決定」(28%)したり、「独自の賃金制度を設けている」(6%)のは少数だ。

ITスキル習得のコストは割高だ。転職のための基本知識を習得する専門学校などの講座は通常3~6カ月かかり、料金も30万~60万円が相場だ。コストに見合うだけの賃金を得にくいため、積極的にスキルを習得して転職しようという動機づけが働きにくい。dodaによると21年にIT技術職に転じた人のうち、異職種出身は24%。販売・サービス職(50%)や事務職(56%)の半分にとどまる。

(日本経済新聞)

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