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驚異と脅威の27年 アマゾン・ベゾスCEO退任 2021/07/06

ベゾス氏はアマゾンの創業記念日にあたる7月5日にCEOを退任した=ロイター

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米アマゾン・ドット・コムの創業者であるジェフ・ベゾス氏が5日付で最高経営責任者(CEO)を退任した。自らを「発明家」と称し、会社設立から27年間で世界に与えた衝撃は大きい。「歴史上のどんな小売業者より多くの商品を提供できる。インターネットのおかげだ」。そう宣言して走り出したベゾス氏は、圧倒的な影響力を手にしたテック起業家の光と影を映し出す。

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ビジネスモデル特許のはしりとされるワンクリック注文など、ほしいものがストレスなく買える仕組みは消費の風景を一変させた。

商品のレコメンドでさらなる購入を喚起しただけではない。需要予測や供給網の管理にデータを駆使するアルゴリズム経営の道を切り開いた。

起点はネットだが、ベゾス氏はその枠にとどまらない。人と機械が協働する巨大倉庫を世界に構え、米国では食品スーパーの買収に巨費を投じた。ドローンでの宅配を構想し、レジなし店舗も運営する。ネットとリアルをまたにかける経営の第1世代だ。

「成熟したデイツー(2日目)企業になれば死が訪れる」。常に初心で仕事にのぞむ「デイワン(1日目)」の精神が重要と説き続けた。

ビッグデータ解析、人工知能、ロボティクス。技術の進化を追い風に力を極大化するテック起業家の姿を体現した。

かつてない成長ぶりを示す「驚異」の経営。だが気がつけば、社会に「脅威」をもたらす存在との見方が広がっていた。

変わり目は2017年だろう。一人の学生がアマゾンの規制を求める論文を書き注目された。先月、米連邦取引委員会(FTC)委員長についたリナ・カーン氏だ。同社の独占的な振る舞いが小さな事業者を追い込み競争を阻んでいる。そうした批判が各国に拡散した。

翌18年以降、ベゾス氏は世界一の富豪の座にある。「アメリカンドリーム」より「経済格差」の文脈で語られる場面が目立つ。

10の数字でみるアマゾン

190兆円株式時価総額。1997年5月、米ナスダック市場に上場。24年間で約3800倍に
シェア24.1%2006年に始めた「アマゾン・ウェブ・サーピス(AWS)」。インフラ系クラウドサービス首位(米IDC)
世界で2億人突破会員制サービス「アマゾンプライム」利用者
75兆円ブランド価値。アップルやグーグルなど抑えて3年連続首位(英調査会社カンター)
1030億個2019年の世界宅配取扱個数(米郵便計器大手ピツニーポウズ)
18%世界の小売業全体のEC比率(米イーマーケッター)
121年の米国内の小売店閉鎖数は初の1万店突破(米コアサイトリサーチ)
127万人アマゾンの世界の従業員数。米ウォルマート(約220万人)に次ぎ米で2番目
15万ドル米連邦政府の定める最低時給の約2倍だが不満も
-1526アマゾン株価とアマゾン恐怖銘柄指数(小売関連約50社で構成)との差。12年2月~21年6月末(米ピスポーク・インベストメントグルーブ)

地球上で最も顧客を大切にする会社をモットーにしてきたが、人々の心をとらえ切れていたか。富をもたらすと進めたニューヨーク市での第2本社計画は、アマゾンが受ける大 規模な優遇措置に地元が反発し頓挫した。

ベゾス氏の前のテック業界の「顔」はアップル創業者、スティーブ・ジョブズ氏だった。スマホが普及期を迎え、目新しい技術の出現に人々が熱狂するシンプルな時代といえ た。

いまは違う。技術が産業構造や暮らしに与えるインパクトは格段に大きく複雑だ。

「発明マシンである巨大企業でありたい」。ベゾス氏は規模が生む力にこだわるが、腕を振るえば振るうほど社会との摩擦を生みかねないジレンマを抱える現実がある。近く同氏は宇宙へ旅に出る。そんな挑戦心は次代の起業家にも欠かせない。さらに、社会と調和し前進する能力が必須となった。転換期を象徴するようにカリスマが退く。(日本経済新聞)

10の数字でみるAmazon ベゾス氏が変えた世界 2021/07/05

米アマゾン・ドット・コムの創業者であるジェフ・ベゾス氏が5日付で最高経営責任者(CEO)を退任した。自らを「発明家」と称し、仮想商店街「マーケットプレイス」や会員制サービス「アマゾンプライム」、クラウドサービス「AWS」などを世に送り出した。1994年の設立から約四半世紀で同氏が世界に与えた影響を10の数字で振り返る。

190兆円 株式時価総額

アマゾンは97年5月に米ナスダック市場に上場した。当時約500億円だった株式時価総額は24年間で約3800倍に伸び、21年6月末時点では約190兆円に達した。アマゾンは上場以来、株主配当を一度も実施していない。短期の株主利益よりも長期の成長を重視する経営手法をウォール街に認めさせた。米ブルームバーグ通信の世界長者番付によると、約10%のアマゾン株を保有するベゾス氏の純資産は約21兆8900億円で首位に立つ。

24.1% クラウド市場のシェア

アマゾンは06年に始めた「アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)」によってクラウド市場を切り開いた。もともと自社の電子商取引(EC)サイト向けに構築したIT(情報技術)システムを、使った分だけ料金を払う従量課金によって誰でも利用できるようにすることで始まった。米調査会社IDCによると20年のインフラ系クラウドサービス市場におけるAWSのシェアは24.1%と世界首位。米国のEC市場で40.4%のシェア(21年、米イーマーケッター調べ)を持つアマゾンがITインフラまで握ることには警戒感も根強く、米株式市場では分割論もくすぶる。

2億人 世界の有料会員数

アマゾンが05年に始めた会員制サービス「アマゾンプライム」の利用者数は21年に世界で2億人を突破した。米国では年会費119ドル、日本では同4900円(税込み)で送料無料や動画配信サービス「プライム・ビデオ」などの特典が受けられる。プライムには顧客の利用頻度を高め、他社サービスへの流出を防ぐ効果があり、アマゾンの競争力の源泉だ。21年6月に実施した会員向けの特売イベント「プライムデー」では、米国だけで2日間の総売上高が110億ドル(約1兆2100億円)に達した。

75兆円 ブランド価値

英調査会社カンターが毎年公開している世界で最も価値のあるブランドトップ100社のランキング「ブランドZ」によると、アマゾンの21年のブランド価値は6838億5200万ドル(約75兆円)と前年に比べ64%上昇した。消費者アンケートや財務・業績分析に基づくランキングで、アマゾンはアップルやグーグル、マイクロソフトなどの米IT大手を抑えて3年連続で首位を保った。

1030億個 世界の宅配取扱個数

米郵便計器大手のピツニーボウズによると、19年の世界の宅配取扱個数は前年比18%増の1030億個となり、初めて1000億個の大台を上回った。ネット通販市場の拡大によって26年には最大2620億個に達する見通しだ。荷物の急増でドライバーなど宅配業者の労働環境が悪化し、米国ではクリスマスシーズンの遅配が常態化。日本でもヤマトホールディングスが当日配送の見直しや値上げに踏み切るなど、世界で「宅配危機」を引き起こした。

18% 世界のEC化率

米調査会社のイーマーケッターによると世界の小売業全体のEC化率は20年に18%となり、前年に比べ4.4ポイント上昇した。新型コロナウイルスに伴う「巣ごもり消費」が追い風となった。ベゾス氏が自らの発明品の一つとする外部企業も出品可能なアマゾンのECプラットフォーム「マーケットプレイス」は、実店舗からウェブサイトへと世界の人々の購買行動を変えた。1万店 米小売店の閉鎖店舗数アマゾンなどのネット通販企業が利用者を伸ばす一方、米国では衣料品店を中心に店舗閉鎖が増えている。米調査会社コアサイトリサーチによると21年の米国内の小売店舗閉鎖数は初めて1万店を突破し、過去最多だった19年(9832店)を上回る見込み。コロナを契機にECの優位性が強まった。アマゾンは生鮮食品や薬局、物流分野でも事業拡大を模索しており、影響を受ける業種はさらに増えると見込まれている。

127万1000人 世界の従業員数

事業拡大に伴って増加を続けるアマゾンの世界の従業員数は21年3月末時点で127万1000人に達した。米国企業では小売り最大手のウォルマート(約220万人)に次いで2番目に多い。米誌フォーチュンの「グローバル500」の20年のデータと比較しても、中国石油天然気集団(CNPC、約134万人)に次ぐ世界第3位だ。20年の米国での求人への応募件数は前年比約2倍の3000万件以上。20年に米国で採用した約40万人のうち45%は直近は無職だった。

15ドル 最低時給

利益を従業員や社会に還元していないとの批判を受け、アマゾンは18年に米国内の最低時給を15ドル(約1650円)に引き上げた。アマゾンは最低時給は米連邦政府が定める最低時給(7.25ドル)の約2倍に相当すると主張するものの、従業員の間では待遇をめぐってなお不満がくすぶる。反対多数で否決されたが、21年春には米南部アラバマ州の物流施設で米国初となる労働組合結成の賛否を問う従業員投票が実施された。
同様の動きが米国内の別の施設に広がる可能性があり、従業員との関係修復はベゾス後に持ち越された。

-1526 アマゾンの株価とアマゾン恐怖銘柄指数との差

アマゾンの事業拡大に伴い、競合先が変化を迫られる「アマゾンエフェクト」が様々な業界に及んだ。代表例が消費者の購買行動が実店舗からオンラインに移行した既存の小売業界だ。米調査会社ビスポーク・インベストメント・グループによると、アマゾンの影響を受ける小売関連企業約50社の12年2月時点の株価を100とする株価指数「アマゾン、恐怖銘柄指数(Death by Amazon Index)」は21年6月末に354となり、同じ期間に1880に上昇したアマゾン株の指数を1526ポイント下回る。(日本経済新聞)

「驚異」と「脅威」のテック起業家 2021/07/06

「歴史上のどんな小売業者より多くの商品を提供できる。インターネットのおかげだ」。そう宣言して走り出したジェフ・ベゾス氏の四半世紀は、圧倒的な影響力を手にしたテック起業家の光と影を物語る。ビジネスモデル特許のはしりとされるワンクリック注文など、ほしいものがストレスなく買える仕組みは消費の風景を一変した。クリックのたび生み出されるデータがアマゾン・ドット・コムに強い力を与えた。

起点はネットだが、ベゾス氏はその枠にとどまらない。人と機械が協働する巨大倉庫を世界に構え、米国では食品スーパーの買収に巨費を投じた。ドローンでの宅配を構想し、レジなし店舗も運営する。ネットとリアルをまたにかける経営の第1世代だ。

かつてない成長ぶりを示す「驚異」の経営。だが気がつけば、社会に「脅威」をもたらす存在との見方が広がっていた。

変わり目は2017年だろう。一人の学生がアマゾンの規制を求める論文を書き注目された。先月、米連邦取引委員会(FTC)委員長についたリナ・カーン氏だ。同社の独占的な振る舞いが小さな事業者を追い込み競争を阻んでいる。そうした批判が各国に拡散した。

翌18年以降、ベゾス氏は世界一の富豪の座にある。「アメリカンドリーム」より「経済格差」の文脈で語られる場面が目立つ。

地球上で最も顧客を大切にする会社をモットーにしてきたが、人々の心をとらえ切れていたか。地域に富をもたらすと進めたニューヨーク市での第2本社計画は、アマゾンが受ける大規模な優遇措置に地元が反発し頓挫した。

ベゾス氏の前のテック業界の「顔」はアップル創業者、スティーブ・ジョブズ氏だった。スマホが普及期を迎え、目新しい技術の出現に人々が熱狂するシンプルな時代といえた。いまは違う。技術が産業構造や暮らしに与えるインパクトは格段に大きく複雑だ。

「発明マシンである巨大企業でありたい」。ベゾス氏は規模が生む力にこだわるが、腕を振るえば振るうほど社会との摩擦を生みかねないジレンマを抱える現実がある。近く同氏は宇宙へ旅に出る。そんな挑戦心は次代の起業家にも欠かせない。さらに、社会と調和し前進する能力が必須となった。転換期を象徴するようにカリスマが退く。(日本経済新聞)

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