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KDDIがローソンにTOB、5000億円 三菱商事と共同経営 2024/02/06

KDDIは6日、ローソンにTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表した。親会社で50%を持つ三菱商事以外の株式を買い付ける。KDDIと三菱商事は非公開後は共同で経営する。KDDIと約1万4600店を持つローソンが組むことで、ポイントや金融などを組み合わせて経済圏を構築する動きが広がる。

TOBは4月にも実施する予定だ。価格は1株1万360円で、5日の終値(8721円)を19%上回る。TOBの総額は4965億円を見込む。TOBが成立すればローソンへのKDDIと三菱商事の出資比率は50%ずつとなり、ローソンは両社の持ち分法適用会社となる。同社株は上場廃止となる。

KDDIは2019年にローソンと資本業務提携し、ローソン株の2.1%を持つ。20年には独自ポイントをローソンなどが出資する「Ponta(ポンタ)ポイント」に統合し、合計1億人規模の基盤を築いていた。

6日に都内で開いた記者会見でKDDIの高橋誠社長は「コンビニは消費者にとって身近な接点。デジタル技術をフル活用して新たな価値を提供する」と述べた。三菱商事の中西勝也社長は「各社の強みを組み合わせれば未来のコンビニ事業が可能になる」とした。

KDDIはauショップなど約2200店舗、ローソンは約1万4600店舗を展開し、合算すると約1万6800店舗体制となる。

KDDIは保険、オンライン服薬指導といった商品・サービスをローソンに、ローソンは主にプライベートブランド(PB)商品をauショップに提供し、相互に集客につなげる。

通信とデジタルトランスフォーメーション(DX)を使ったリモート接客の導入などでローソンのデジタル化を支援する。両社の顧客情報を組み合わせ、マーケティングに生かすことも計画する。ローソンの竹増貞信社長は「KDDIからの強力なサポートを期待する」と強調した。

携帯各社は料金競争やスマートフォンの普及の一巡などにより、通信事業だけでは成長が見込めなくなっている。

そこで各社が力を入れているのが自社グループのポイントで消費者を囲い込む経済圏の拡大だ。ソフトバンクは「PayPayポイント」を、楽天グループは「楽天ポイント」を軸に電子商取引(EC)や金融サービスを拡充している。

KDDIはこうした経済圏の確立で出遅れていた。今後はPontaポイントを軸に通信や金融との連携を強めるとみられる。

三菱商事は17年にローソンを子会社化した。食材などの調達網を生かし商品力を強化し、電力小売りや金融事業などを強化する狙いだった。ただセブン―イレブン・ジャパンとの差は縮まらず、ファミリーマートにも逆転されている。

現在は店の1日当たりの売上高は平均50万円台で、セブン―イレブンより2割以上少ない。

ローソンは1975年にダイエーが設立したダイエーローソン(現ローソン)が始まり。積極的なM&A(合併・買収)で事業を広げてきた。三菱商事は2000〜01年にかけてダイエーからローソン株を買い取り、筆頭株主になった。

コンビニ業界の再編を巡っては、伊藤忠商事が1998年からファミマを持ち分法適用会社にし、2018年に追加出資で子会社化した。さらに20年にTOBを実施し非公開化している。

(日本経済新聞)

KDDI・ローソン、実店舗とネット融合 セブン1強に挑む 2024/02/06

ローソンがKDDIのグループに入る。足元の業績は堅調だが、国内コンビニエンスストアは5万6千店弱で足踏みしており飽和感が強い。ローソンはKDDIが持つデジタル技術を生かして実店舗とネットとの融合モデルや海外展開の基盤をつくり、最大手セブン―イレブン・ジャパン1強の市場に挑むことになる。

「ローソンの将来を共有し、各社が持つ強みを生かしていく」。ローソンの竹増貞信社長は6日、東京都内で開いた記者会見で語った。これまで親会社の三菱商事から、国内外のサプライチェーン(供給網)での商品調達や開発などの支援などを受けてきた。今後はKDDIとも連携し、小売りのローソンと通信サービスのKDDIの顧客データを合わせて、最新技術を使ったサービスを提供する構想だ。

ローソンの業績は足元で伸びている。2023年3〜11月期の連結純利益(国際会計基準)は前年同期比49%増の458億円と同期間での過去最高を更新した。株価も足元で約7年半ぶりの高値を付けた。ただ新型コロナウイルス禍後の経済再開やインバウンド(訪日外国人)客の追い風があり、本業のコンビニをみると競合に劣っている現実も見える。

ローソンの1店舗当たりの売上高(全店平均日販)は23年3〜11月で54万9千円。前年同期から2万8千円増えたが、首位のセブンイレブン(69万8千円)はおろかファミリーマート(55万3千円)にも及ばない。生き残りにはテコ入れが避けられない。

ローソンはこれまでのKDDIとの提携では、「Ponta(ポンタ)ポイント」の共通化といった施策にとどまっていた。グループ入りを契機に今後は、KDDIが持つ全国約2200の携帯販売店「auショップ」も活用し、ローソンのプライベートブランド(PB)などの商品を販売する構想だ。KDDIが手掛ける保険や金融、健康分野でのサービス提供の窓口にローソン店舗を使うことも考えている。

両社合計で1億人規模に及ぶポンタの顧客データ基盤も資産として大きい。コンビニで扱う幅広い商品の購買データや消費者の嗜好などを双方で分析して商品開発に生かす。ローソンは全国の店を物流拠点と位置付け、注文から最短15分で商品を届ける宅配サービスなどに力を注いでおり、KDDIの通信サービスなどと結び付けた効率向上も期待できる。

国内のコンビニはセブンイレブンが他社を圧倒する。親会社のセブン&アイ・ホールディングスは国内外のコンビニ事業への集中戦略を強めており、米国やオーストラリアで相次ぎ企業や店舗を買収した。国内でも年100店舗以上のペースで増やす計画だ。

ファミマは一足先に株式を非公開化し経営の機動性を高めた。伊藤忠商事のもとデジタル技術を駆使した店舗づくりを進め、衣料品などコンビニで手薄だった品ぞろえを充実させている。

ローソンの竹増社長はKDDIグループに入るのを機に「『アジアのGAFA(米大手テック企業)になる』と公言している」と述べた。アジアなど海外展開を一段と進めることや、KDDIの力を借りて小売りに関わるデジタル基盤も合わせて提供していくとの決意の表れとも読める。

王者のセブンイレブンを含めて、小売業で実店舗をネットと融合させる取り組みは道半ばだ。これまでも各社がネット連携を打ち出しているが、まだヒットにはつながっていない。コンビニ同士だけではなく、業界再編が進む食品スーパーやドラッグストアも手ごわい相手になる。深刻になりつつある人手不足も成長の足かせだ。難題は多い。

KDDIなど携帯各社が進めるポイントなどの独自経済圏と、KDDIが新たな取り組みとして強調する金融分野は、ローソンが他社との違いを打ち出せる勝ち筋となるかもしれない。ローソンはオーナーが目まぐるしく変わってきた歴史もある。竹増社長は「時代に合った『新たな便利』を提供していく」と話した。再び変化が問われる時だ。

(原欣宏、佐藤諒)

(日本経済新聞)

流転のローソン、KDDIと見る小売りDX強者の夢 2024/02/07

KDDIがローソンの経営に参画する。ローソンはコンビニエンスストアの一大チェーンに成長したものの、勝ち切れないまま経営体制が再び変わることになる。通信やIT(情報技術)を中核とするKDDIと見るのは、小売業ではまだ誰もなし得ていない実店舗とネットを融合しデジタルトランスフォーメーション(DX)の強者になる夢だ。

ローソンの源流は米オハイオ州でJ.J.ローソン氏が営んでいた牛乳販売店までさかのぼる。後にコンビニへ発展し、日本では1975年にダイエーが設立したダイエーローソンが始まりだ。

大阪府に1号店を開業し、70年代後半には24時間営業を始めた。店内で揚げ物ができるフライヤーを早くに導入し、その後に発売した「からあげクン」は今に至るロングセラー商品となった。96年に他社に先駆けて中国に進出し、97年にはコンビニ初の全都道府県出店も果たす。

新規事業に積極的に挑んだのは「小売業は『変化対応業』だ」と繰り返し説いたダイエー創業者、中内㓛氏の姿勢と重なる。

日本小売りとして初めて売上高1兆円を超えたダイエーの傘下で順風満帆に見えたが、親自身が経営危機に陥ったことでローソンも最初の転機を迎える。

ダイエーは2000年、有利子負債圧縮を目的にローソンの一部株式を三菱商事に約1700億円で売却。02年に三菱商事出身の新浪剛史氏(現サントリーホールディングス社長)が43歳の若さで社長に就任し、M&A(合併・買収)や提携戦略でセブンイレブンへの対抗路線を鮮明にした。

しかし、日本の運営会社と買収合意にまで至ったエーエム・ピーエム・ジャパン(am/pm)を巡っては後にファミリーマートへ奪われる結果となった。三菱商事はローソン株の保有比率を50.1%まで高め17年には子会社化。ローソンにとって2度目の転機だ。

ローソンは調達や商品開発などで三菱商事との連携を深めたものの、店舗数や1店当たりの売上高(全店平均日販)で国内コンビニ業界3位が定着した。三菱商事の中西勝也社長は6日の記者会見で、ローソンについて「追加でサポートできることについて悩んでいた」と明かした。

国内市場ではコンビニ同業はおろか、スーパーやドラッグストア、ネット通販との競争がますます激しくなる。次世代店舗やサービスの開発が待ったなしの中、解がなかなか見いだせなかったからだ。

「(実店舗主体の)『リアルリテール』から(デジタル主体の)『テックリテール』に生まれ変わる」。ローソンの竹増貞信社長が23年12月、24年に向けた抱負で語った言葉だ。この時すでにKDDIとの連携が頭にあった。

具体策の一つとして、24年春には消費者のスマートフォンで各店舗の商品在庫を把握できるようにする。コンビニではまだほとんどないサービスだ。さらに全国の店舗を物流拠点と位置付け、注文から最短15分で商品を届ける宅配サービスにも力を入れる。人工知能(AI)を商品発注や値引きなど店舗での作業に活用する取り組みも始めた。

KDDIグループ入りで小売業のノウハウと通信ITの先端技術を掛け合わせることができれば、これらの技術をより高度化できテックリテール実現に近づく。KDDIも5000億円と過去最大規模の資金を投じ、生半可な覚悟ではない。

ローソンは25年に日本での創業から半世紀となる節目を迎える。今回の転機は首位をうかがう三度目の正直となるか。成否はコンビニだけでなくDXで世界に遅れる日本小売業の未来も左右する。

(原欣宏、篠原英樹、大西智也)

(日本経済新聞)

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