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KKR ヘンリー・マクベイ氏 日本に強気、投資の好機探る 産業用機械・自動化に妙味 2023/05/17

米大手投資ファンドのKKRが世界で商機拡大をうかがっている。日本では3月に日立物流(現ロジスティード)を買収し、5月末に食品スーパー大手の西友ホールディングス株も買い増す。KKRで自己資金を使った投融資の責任者を務めるヘンリー・マクベイ氏は「日本市場に強気」と語り、「あらゆる資産クラスでビジネスを拡大する」と強調した。

――最近訪問した日本の市場をどうみていますか。

「我々は日本市場に強気だ。経済成長は緩やかだが安定的で、構造的なデフレからも脱却できるとみる。注目すべきは日本は他の先進国よりも働き盛りの女性の労働力確保に成功している点だ。もともと男性の労働参加率も非常に高い。経済が成長すると労働需給が逼迫し、これまで以上の賃金上昇が起きるだろう」

「『アベノミクス』もまだ有効だ。企業統治が強化され、資本収益率の改善を狙った大企業の子会社売却が増えている。我々の日立物流の買収もその流れにある。今後、5~10年の間は日本の経済や株式市場が、より魅力的になる可能性がある」

――日銀の金融政策はKKRの活動に影響しますか。

「我々は(米著名投資家のウォーレン・バフェット氏が率いる投資会社)バークシャー・ハザウェイなどと同じで、日本で円建て債券を発行している。日本の金利環境に大きな関心がある」

「日銀は長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)から徐々に手を引くと想定している。日本の10年物国債利回りは年内に1.25%、中長期的には1.5%程度まで上がるだろう。マイナス金利政策からの脱却は年後半以降に道筋がより明確になるはずだ」

――今後の日本での投資方針は。

「あらゆる資産クラスでビジネスを拡大するつもりだ。マクロ的な追い風や大きなテーマに沿って成長が期待できるセクターで、有能な経営者を擁する企業への投資を探っている。不動産分野でより存在感を高め、ヘルスケアから消費財まで幅広い分野への投資を拡大するだろう。賃金の上昇圧力を受けて生産性向上の取り組みが進むなか、産業用機械や自動化分野で特に素晴らしい投資機会がありそうだ」

――米経済の先行きはどうみますか。

「今回の金融引き締め局面が過去と違うのは米国だけでなく欧州、日本、中国のいずれも失業率が低くとどまる点だ。成熟した市場では人手不足が起きやすく、働き手は消費に回せる収入を得ている。日米欧ではクリーンエネルギー分野を中心に財政支出も実施されている。こうした点に支えられ、米国は深刻な景気後退を回避できるとみる。ただ経済が堅調なのは2023年前半までで、後半はほぼ横ばい成長になるだろう」

――米連邦準備理事会(FRB)の金融政策の展望は。

「金融引き締めを終える時期は近づいているものの、市場が見込むような今後1年間で1.5%規模の大幅利下げはないとみている。いまは経済が安定していても物価は上がりやすくなる構造変化が起きているためだ。労働市場の逼迫や(ロシアのウクライナ侵攻など)地政学の変化に根ざしたサプライチェーン(供給網)の再構築、(化石燃料からの)エネルギー源の転換は持続的なインフレ圧力になる」

――米銀破綻が投資ファンド業界に与える影響はどうみますか。

「多くの金融機関が資産の含み損を抱え、負債の調達コスト上昇に直面している。銀行規制も資産・負債管理の観点で強化されそうだ」

「このため銀行を代替するプライベートクレジット(ノンバンクによる融資などの与信)の需要が高まりそうだ。この分野の投資リターンは現在10%超だ。我々は750億ドル(約10兆円)のプライベートクレジットを含む2000億ドル規模のクレジット運用を手がけ、市場シェアを拡大する機会は増える」

――ほかに投資先として有望なのは。

「インフラは米欧アジアで古い施設を更新する必要があり、物流網の開発余地も大きい。我々の投資テーマは『あらゆるものの安全保障』。水やデータ、輸送など現代社会に欠かせないインフラの強靱(きょうじん)性を高めることができる」

(聞き手はニューヨーク=斉藤雄太)

(日本経済新聞)

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