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M&A助言、野村が首位 ニチイ買収など取引総額8兆円 三菱モルガンと2兆円差 2024/01/24

2023年の日本関連のM&A(合併・買収)助言ランキングは、前年2位だった野村証券が金額ベースでトップだった。日本生命保険による介護大手ニチイホールディングス(HD)買収など大型案件に幅広く関わった。野村が助言した案件の取引総額は約8兆円。2位の三菱UFJモルガン・スタンレー証券と約2兆円の差をつけた。

3位はみずほ証券、4位はJPモルガン証券、5位がSMBC日興証券だった。野村は法人営業網を生かして幅広い案件に関与し、件数ベースでも上位に食い込んだ。

リーグテーブルは証券会社の助言や引き受け実績ランキング。英ロンドン証券取引所を運営するLSEGのデータを引用した。

23年は日本関連のM&Aの取引総額が約23兆円と前年比5割増え、5年ぶりの高水準だった。東京証券取引所による低PBR(株価純資産倍率)改善要請やアクティビスト(物言う株主)が活発化したことも企業の再編につながった。

1兆円超えの取引が計3件あった。野村、みずほ、JPモルガンの3社は日本産業パートナーズ陣営による東芝の株式非公開化(約2兆1000億円)と、産業革新投資機構によるJSR買収(約1兆円)の両方に関わった。

日本製鉄による米鉄鋼大手USスチール買収(約2兆円)では日鉄側にシティグループ証券が、USスチール側には米投資銀行のエバコア、バークレイズ証券、ゴールドマン・サックス証券が付いた。国内証券はそろって関与できなかった。

他にも取引額2000億~4000億円の大型案件が活発で、野村は幅広く関わった。日生によるニチイHD買収では売り手の米投資ファンド、ベインキャピタルに助言した。日生側はゴールドマンなどが助言した。

人材派遣のアウトソーシングはベインと組んでMBO(経営陣が参加する買収)を実施した。野村などがアウトソーシングを助言し、ベイン側には三菱モルガンが付いた。三菱モルガンの竜口敦M&Aアドバイザリー・グループ統括責任者は「東証の市場改革をきっかけに経営者が上場の意義を考えるようになり、非公開化はますます増える」とみる。投資ファンドで待機資金が増えていることも追い風だという。

4位のJPモルガンは第一生命ホールディングスによるベネフィット・ワンへの買収提案で、第一生命を助言した。もともとエムスリーがベネワンに対してTOB(株式公開買い付け)を開始したところ、第一生命が対抗した。エムスリーにはSMBC日興、ベネワンには三菱モルガン、ベネワン親会社のパソナグループには野村が付いた。

第一生命の提案は事前の合意がない「同意なき買収提案」だ。経済産業省が23年に策定した「企業買収における行動指針」で、真摯な提案であれば取締役会で適切に対応を検討するよう求めたことが契機になったようだ。JPモルガンの土居浩一郎M&Aグループ責任者は「同意なき買収は国内ではまだ少ないが、指針の影響もあり、今後は増える可能性がある」と指摘する。

5位のSMBC日興は大正製薬ホールディングスのMBOで、買い手の創業家側を助言した。買収総額は約7100億円とMBOでは異例の規模で、SMBC日興の木村信彦M&Aアドバイザリー副本部長は「著名な大手企業でのMBOは、幅広い経営者にとって資本構成のあり方を考えるきっかけになる」と話す。

23年はM&Aの金額が急増したものの、件数は約4600件と前年並みにとどまった。みずほ証券の木戸明宏執行理事は「株価が高い半面、景気の先行きが見通しにくく、中堅・中小の様子見姿勢が目立った」と話す。

足元では買収ローン金利が上昇し、M&Aに影響が出るとの見方がある。野村の清田亮執行役員は「むしろ貸し手が適正な利潤を取りやすくなり、参加者が増える可能性が高い」と指摘し、M&Aには追い風になると予想する。

(森川美咲)

(日経新聞)

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