金融、コンサル、外資系の転職・求人なら人材紹介【アスパイア】

無料転職支援・
相談のお申し込み

簡単登録
(入力1分)
信頼度NO.1の人材紹介エージェント
  • pic

    George Roberts, founding partner of Kohlberg Kravis Roberts & Co.,

  • pic

    Blackstone CEO Steve Schwarzman 

投資ファンド業界最新情報

Investment fund industry latest information

PEファンド「黄金時代終焉」 投資回収、過去10年で最低 利上げ直撃、買収企業の売却低迷 2023/11/08

未公開企業などの株を買って経営を支援し、取得時よりも高く株を売却して利益を得るプライベートエクイティ(PE)ファンドの投資回収資金が過去10年で最低に落ち込んでいる。世界各地での利上げと地政学的な緊張で企業買収ブームが終わったことが背景だ。

米調査会社ピッチブックのまとめでは、2023年1~9月にPEファンドは企業の売却や株式公開で5840億ドル(約88兆円)の資金を回収した。

前年同期より1000億ドル以上少ない。その前の21年は過去最高の約1兆4000億ドルを回収している。当時は低金利で米国株式市場も活況だった。

その後、金利上昇が新規株式公開(IPO)市場を直撃し、企業は買収に慎重になった。ピッチブックのデータではPEファンドの回収資金は14年以降で最も少ない。

これらの数字はPEファンドが投資資産を現金化し、世界の大手年金基金や政府系投資ファンドなどの投資家に戻すことが難しくなっていることを示している。有力投資家のシンガポール政府系投資ファンドGICは7月、PEファンドの黄金時代は終焉(しゅうえん)を迎えたと警告した。

ある業界幹部によると、PEファンドはいまだに「21年当時の価格」で投資先企業の売却を模索しているが、買い手候補企業や公開市場で取引する投資家は、利上げや景気の先行き懸念、IPO市場の低迷などを評価額に反映するよう求めている。

希望価格での投資先企業の売却が難しくなり、PEファンドは投資家に還元する元手を確保するために非伝統的な手法に頼るようになっている。

保有する上場企業の株式を担保とする「マージンローン」(証券担保ローン)や、投資資産を担保とする「純資産価値(NAV)ファイナンス」を利用した資金調達が増えている。

英法律事務所リンクレーターズのパートナー、デービッド・マーティン氏は、市場環境の悪化でPEファンドが還元資金の調達手法に関して「今までにないやり方を考え出している」と指摘した。

投資ファンドに出資する機関投資家の業界団体、インスティテューショナル・リミテッド・パートナーズ・アソシエーション(ILPA)はPEファンドが借り入れを増やしていることに対し、監視を強めている。フィナンシャル・タイムズ(FT)は10月、ILPAが投資ファンドにマージンローンなどの非伝統的な資金調達手法を用いる必要性について納得のいく説明を行い、費用も公開するよう求める勧告案を作成中だと報じた。

欧州大手投資ファンドのEQTが先日、IPO市場の低迷を受けて投資先企業の株式を非公開で売却する計画を発表したことも業界の苦境を示している。

投資ファンドはこのほか、既存ファンドの資産を新規ファンドに売却する「継続ファンド」と呼ばれる手法も多用している。既存ファンドの投資家は資産を新規ファンドに移行する過程で資金を引き出す機会を得られることが多い。

英国のPEファンド幹部200人を対象にした最近の調査では、継続ファンドがIPOや資産のオークション方式での売却より投資資産を現金化する方法として優れていると見られていることがわかった。

英フィナンシャル・タイムズ特約

(日経新聞)

menu