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PEファンドの経営難投資先 競合相手へ譲渡相次ぐ 2023/09/02

厳しい経済状況の中で経営難に陥った投資先企業をライバルの融資事業部門に譲渡する――。米国のKKRやベインキャピタルなど大手のプライベートエクイティ(PE、未公開株)投資会社の間で、このような動きが相次いでいる。

融資を手掛ける会社への譲渡が広がる状況は、投資先企業が金利の上昇や根強いインフレ、サプライチェーン(供給網)の停滞などに苦しむ中で、多くのPE投資会社が直面している問題を浮き彫りにしている。

同じ大手PE投資会社の融資部門によるプライベートクレジット(ノンバンクによる融資)の影響力の高まりも示している。

近年、米国のアポロ・グローバル・マネジメントやカーライル・グループ、KKRといった多くの業界大手において、プライベートクレジットは買収よりも高成長のビジネスとなっている。

複数の関係者によると、ベインキャピタルの欧州部門は最近、昇降機部品メーカーの独ウィッターの所有権をKKRの融資部門に譲渡した。

KKRのPEファンドは、ドイツの決済サービス会社ウンザーの経営権を米ゴールドマン・サックスやスイスのPE投資会社パートナーズ・グループ、英資産運用会社アルセントラなどの債権者グループに引き渡した。

「資金調達が容易な低金利時代が何年も続き、PEファンドが保有する会社はそれに乗じていた」と米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスの幹部ジニーン・アーノルド氏は話す。「収益が拡大していれば問題ないが、その後、新型コロナウイルス禍、ウクライナ侵攻、金利の上昇に見舞われた」

金利が上昇した結果、返済額が増え、債務の返済に回さなければならないお金が膨らんだ。

「PE投資会社は変動金利での借り入れについてほとんど金利ヘッジをしていなかった。その状態で金利が上がり、この1年半の間に債務返済費用が2倍以上に膨らんだ」。米投資会社キング・ストリート・キャピタル・マネジメントのパートナー、ポール・ゴールドシュミット氏はこう説明する。

貸し手側にとっての問題は、取引の資金調達に使用された融資の多くに債権者を保護する強力なコベナンツ(契約条項)が設定されておらず、重大な事態に陥る前に企業のバランスシート上の問題をチェックすることができないことだ。

「ここ数年間のコベナンツの不備により、流動性が問題の引き金になりやすくなっている」と指摘するのは米投資銀行フーリハン・ローキーのリストラクチャリング担当共同責任者、マニュエル・マルティネス・フィダルゴ氏だ。

融資条件が緩いために、PE投資会社側は追加の借り入れなど、会社の延命に動く余地が大きい。

「今のところ、PE側とプライベートクレジット側は思惑が一致している」と語るのは、150億ドル(約2兆2000億円)の資産を運用する米クレジットヘッジファンド、ビーチ・ポイント・キャピタル・マネジメントのポートフォリオマネジャーを務めるアラン・シュバイツァー氏だ。「PE側は投資先企業を存続させたい。プライベートクレジット側は複数企業の経営権を同時に引き受けられる態勢にない」

(日本経済新聞)

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