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SNS、コロナ3年で明暗 TikTok急伸、LINE停滞 ショート動画の裾野拡大 2023/01/06

新型コロナウイルス禍の3年間でSNS(交流サイト)アプリに選別の波が押し寄せている。巣ごもり中のコミュニケーション手段として追い風を受けたが、外出自粛ムードが緩むとLINEやフェイスブックの停滞が顕著になった。一方でショート動画で人気のTikTok(ティックトック)は利用者が急伸している。景気の減速懸念で企業が広告出稿先を絞る動きもあり、利用者獲得に向け各社は対応を迫られている。

「友達との連絡手段はLINEではなく、TikTokのDM(ダイレクトメッセージ)を使うことが増えた」(都内の女子高生)

「家族とは今もLINEだが、友人との連絡は主にインスタグラム」(福岡県の女子大生)

国内SNSアプリ最大手のLINEの存在感に陰りが見え始めている。中国の字節跳動(バイトダンス)が運営するTikTokや米メタのインスタグラムなど、ショート動画や写真に強みがあるSNSが利用者を急速に増やしているからだ。

データ分析のヴァリューズ(東京・港)によると、2022年11月の利用者数では全てのアプリの中でLINEが首位だった。利用者数は6630万人でコロナ前の19年11月と比べて2割超伸びた。

一方、ツイッターとインスタグラムの利用者数はそれぞれ3870万人と3410万人で、ともに4割弱増えた。TikTok(1420万人)は約5倍に躍進した。メタのフェイスブック(2090万人)は1割減となった。

コロナ禍をへてSNSの選別が始まりつつある。LINE、ツイッター、インスタグラム、フェイスブック、TikTokの月間利用者数の伸び率(前年同月比)を調べると3年間の変化がより詳細に浮かび上がる。分析にはフラー(新潟市)が手がけるアプリ分析ツール「App Ape(アップ・エイプ)」を利用した。

20年初めから21年中ごろまではSNSアプリは全体的に堅調に推移した。巣ごもりでSNSが重要なコミュニケーションツールの役割を果たしたからだ。

この間、高い伸び率を示したのがTikTokとインスタグラムだ。TikTokの伸び率は21年2月には66%に達し、インスタグラムも20年を通じておおむね30%台を維持した。対面での交流が制限される中、15秒程度のショート動画や写真の投稿が人気を呼んだ。

外出自粛ムードが緩むと状況が変わった。コロナ禍初期の反動もあり、TikTokの伸び率は22年2月にはマイナス18%まで落ち込んだ。それでも11月には65%まで急速に回復した。当初はショート動画で若者をひき付けたが、ここにきて友人とメッセージをやりとりするアプリとしても裾野が広がっているとみられる。

TikTokは数年前から世界的に人気を集めている。米調査会社data.ai(旧アップアニー)はTikTokの世界の月間利用者数は22年中に15億人を超えると予測した。人気を支えてきたのが10~20代の若者だ。

フラーによるとTikTokの国内利用者に占める10~20代の割合は4割を超える。インスタグラムやツイッターは3割超でLINEは2割台だ。「TikTokはこれまでは若者がけん引してきたが、30代以上の構成比も上昇している」(フラー)

一方、LINEは巣ごもりが緩和した頃から停滞が長引いている。21年11月以降はマイナスに沈み、22年1~11月でプラスになったのは3カ月だけだ。フェイスブックはさらに影響が大きく、22年1~11月は10%前後のマイナスが続いた。

景気減速懸念が広がるなか企業は広告の出稿先を選別しつつある。LINEで動画広告などを含むディスプレイ広告事業の22年7~9月期の売上収益は前年同期比2.4%減(前年同期は39.8%増)となり、広告事業全体でも5.3%増(同29.9%増)にとどまった。広告代理店の電通グループやサイバーエージェントのネット広告売上高が2桁成長を維持するなか、LINEに逆風が吹く。

広告業界の関係者は「若い世代に有効な動画広告の掲載先はTikTokやユーチューブを優先する傾向が強まっている」と指摘する。LINEの出沢剛社長は22年11月の決算説明会で「TikTokのようなショート動画が支持される流れが広がっている」と危機感を示した。LINEはショート動画を投稿できる機能を21年に追加するなど対策を急ぐ。

ただしTikTokにも死角がある。個人情報の取り扱いを巡る厳しい視線だ。22年12月には米国で、バイトダンスの元従業員が同社を担当する記者らの個人データを不正入手していたことなどが明らかになった。国内でもイメージが悪化すればユーザーや広告主が離反するリスクもある。

(松田直樹)

(日本経済新聞)

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