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VC、アフリカ新興に照準 アンカバード、来月にも特化ファンド / UTEC、ケニア企業に資金供給 2023/03/08

日本のベンチャーキャピタル(VC)がアフリカで有望スタートアップを探し始めた。独立系VCのアンカバードファンドは4月にも、現地のスタートアップへの投資に特化したファンドを立ち上げる。人口増を背景に市場が拡大するアフリカは「最後のフロンティア」と呼ばれ、欧米勢も投資を強めている。後れを取っていた日本勢が巻き返しを急ぐ。

「日本では生まれないリープフロッグ(カエル跳び)型の技術革新を期待できる」。アンカバードファンドの寺久保拓摩代表はアフリカの魅力をこう説明する。リープフロッグは先進技術が一足飛びに普及する現象を指す。

注目するのがフィンテックやモビリティーに関わる領域だ。新ファンドは20億~30億円規模を見込み、起業直後の「アーリー」期や事業が軌道に乗る「ミドル」期を中心に約50社へ出資する。

今回は2号ファンドにあたる。1号は2020年に立ち上げ、約30社に計約10億円を投じた。新たな有望スタートアップを探すため、投資規模を拡大する。

アフリカでは近年、スタートアップ投資の機運が盛り上がっている。電子商取引(EC)を展開するナイジェリアのジュミア・テクノロジーズが19年にニューヨーク証券取引所に上場したことで注目が集まった。

デジタル決済サービスを提供するナイジェリアのフラッターウェーブなどユニコーン(企業価値10億ドル以上の未上場企業)も増えている。エジプトで乗り合いバスの予約アプリを手掛けるスワブルはユニコーンを経て、米ナスダック市場へ上場した。

欧米勢が先行
フランスの調査会社のパルテック・パートナーズによると、アフリカのスタートアップがVCから調達した資金額は22年に49億1200万ドル(約6700億円)だった。米欧などの利上げを背景にスタートアップに流入する資金が減るなか、21年比でも6%減と底堅さを示した。

全体のうちアフリカ域外のVCが7~8割を占めるとされる。欧米勢が先行し、英ノバスター・ベンチャーズは14年から累計で2億ドルをフィンテック領域などに投じた。

水をあけられていた日本のVCも動き始めた。東京大学エッジキャピタルパートナーズ(UTEC)はこのほど、ケニアで中古車売買サイトや車検を手掛けるピーチ・テックに、日本の親会社を通じて出資した。

ピーチ・テックは外資系コンサル出身の加賀野井薫代表が「現地では中古車取引の不正を防ぐ仕組みなどが乏しく、インフラを求める需要は大きい」とみて立ち上げた。調達資金でエンジンや部品の検査を効率化するシステムを開発する。

グローバル・ブレインは21年にデジタル薬局などを運営するエジプトのシェファアに出資した。アフリカ投資担当を務める反田広人氏は「今後は年2~3件のペースで投資し、アフリカ向けファンドの立ち上げも視野に入れている」という。

JICA加わる
ケップルアフリカベンチャーズがナイジェリア企業と立ち上げたアフリカ向けファンド「Verod-Kepple Africa Ventures(VKAV)」は組成額が60億円に達した。新たに国際協力機構(JICA)や三井住友信託銀行などから出資を受けた。

同ファンドは27年2月までに約20社に対して累計1億ドルの投資を計画している。JICAの出資は日本政府がアフリカ開発会議(TICAD)で表明した支援策の一環で、日本企業の投資の呼び水にする狙いもある。

VCへの出資にとどまらず、事業進出を探る動きも広がる。アフリカで金融事業などを手掛けるSBIアフリカ(東京・港)の北川智也代表は「新型コロナウイルスの行動制限などが緩和され、本腰を入れて進出したいという問い合わせが増えている」と説明する。

もっとも、出資や事業進出が成果を挙げるまでに想定以上の時間がかかる可能性もあり、他地域に比べた投資回収の難しさを指摘する声も上がる。日本勢も長期的な視点に立った戦略が求められる。

(湯浅太周)

(日本経済新聞)

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